円安メリットがもたらす企業競争力

 年の第二次安倍内閣が発足して以降、アベノミクスを契機に転換したドル円為替市場の円安トレンドは2013年の日本銀行の大規模金融緩和、2014年10月の追加金融緩和を追い風にますます進行し2014年11月末には119円近辺まで到達しました。2012年につけた77円台の円高局面と比較すると実に50%以上も円安になっています。

 この間円高に苦しんでいた日本の輸出セクターの製造業は一気に収益性を回復させることで国際的な産業競争力も回復に転じていると考えられます。輸出企業の円安で得られた利益を賃金引き上げに振り向け、また生産、設備投資、雇用などの活動が活発になることで他産業にプラスの循環を与えていくことが期待されて、円安はこれまで日本経済の先行きに対する明るい材料となってきました。しかし一方で2014年になって以降はこの円安を歓迎するムードに変化が生まれ、円安デメリットを議論する声も聞かれるようになっています。

 円安のプラス効果が見えにくいこともその一因ですが、今一度円安はどのような影響を日本経済に与えているのか確認してみましょう。一口に円安といっても様々なルートを通じて経済に影響を与えます。大まかに次のようなプラスの影響が考えられます。

○日本で生産された製品を輸出した場合
○好況な輸出企業に部品や材料を納入する企業への恩恵
○ドル建てで見た日本企業のコストや人件費が低下し、国際競争力が改善する
○安価な輸入製品の脅威が減少する
○海外子会社の利益を日本円で連結評価する場合
○外国人観光客の増加による需要、雇用の増加

 一般的には自動車産業や、エレクトロニクス産業、機械、精密工業などの輸出関連産業では円安効果がプラスに寄与し業績の目覚しい改善が見られていますが、円安はもっと幅広く影響しています。私たちが調査活動を通じて感じている隠れた円安恩恵産業をご紹介いたします。

隠れた円安恩恵企業~鉄鋼業

 鉄鋼業は一般的には円安でメリットを受ける企業とは考えられていません。原料の鉄鉱石や石炭を全て海外から輸入しているからです。むしろ円安はデメリットであると考えられている企業さえあります。ところが実際には大手高炉メーカーの輸出比率は50%程度と非常に高い割合に達しており、海外企業との厳しいコスト競争に晒されています。

 原材料などの変動コストは海外から国際価格で輸入していますので他国の企業との差は大きくありません。しかし人件費や減価償却費などの固定的な費用は自国通貨である円で発生しています。折からの円安の進行によって日本企業のコストはドル建て評価した場合には大きく減少していますので、国際競争力が大きく上昇していることになります。円高のときには競争力がなく輸出できなかった企業も、現在の為替水準では輸出が出来るようになっているということです。このように鉄鋼業だけでなく国内にプラントを持つ素材産業では材料価格や製品価格が国際市況によって決まっていること、工場やプラントのコスト競争力は一朝一夕には変化しないことから、為替の水準変化によって国全体の産業競争力が変化することが時おり見られます。鉄鋼業に限らず円高によって相対的に競争力を失っていた日本の素材産業の中には今回の円安でその競争力を再び取り戻しつつある企業も出てきたと考えています。

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 同じ条件で中国企業の為替変動によるコスト構造の変化を見てみましょう。ドル/人民元相場は07年以降一貫して人民元高で推移しているために、時間を追う毎に輸出環境が厳しくなっていることが確認できます。実際には自動化などによる省人化、歩留まりの改善など産業の高度化による生産性の改善効果、人件費の増加などのマイナス効果など様々な要因が作用しますので単純に議論することは出来ませんが、為替の要因だけで議論するとこのような変化が見られるということは事実です。今回の円安で日本企業の国際競争力が改善する方向に向かっている可能性は極めて高いと考えています。

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