「決してあきらめない~イノベーションの決め手」

・リーダーシップをどのように見抜くか。投資を考える時、その企業のトップマネジメントに、どのくらいのリーダーシップがあるかは誰もが知りたいところである。しかし、事前にはなかなか分からない。引退した後に評価出来たとしても、それでは遅い。社長にリーダーシップがあるといっても、平時と有事では求められる資質が異なることも多い。まして、イノベーションのためのリーダーシップとなると、その見極めはさらに難しい。うっかりすると、ワンマンになり会社を崩壊させかねない。一方、常識人から本物のイノベーションが生まれるとも思えない。

・10月に催された日立イノベーションフォーラムで、HBS(ハーバードビジネススクール)のカンター教授(ロザべス・モス・カンター)の話を聴いた。テーマは、「イノベーションを創造するリーダーの条件(The Leadership for Innovation)」であった。彼女はイノベーションに優れた企業のトップマネジメントをみると、5つの共通点があるという。どこの国にも、イノベーションを起こすリーダーはいる。そういうリーダーをいかに育てるかは容易でないが、そのリーダーの条件を知っておくことは投資判断にも大いに役立とう。

・イノベーションを創造するリーダーシップの第1は、好奇心である。好奇心が旺盛でないと、新しい変化やニーズを見出すことができない。顧客満足度調査をして、80%が満足していると知って納得するか、20%も不満を持っている人がいると嘆くかである。

・パフォーマンスを過去と比べるだけでは不十分である。ベンチマークする他社と比べるだけでも今一つである。つまり、本来求めるべきポテンシャルと比べて、どのくらいギャップがあるかを認識し、そのギャップを埋めるにはどうするか。ここから本物のイノベーションが生まれるという。

・そのためには、オフィスから出て現場に行け、自国を出て世界を見に行けと強調する。世界の現場で困っている社会的課題をどう解決するか。それを若い人に体験させることが重要である。倒れたコダックはロチェスターから出ることができず、デジタル化を理解できなかった。一方でIBMは世界に出ている。日本のオムロンでは、営業担当者が察知した課題を会社に持ち帰って解決策を出そうとする。パワポ(パワーポイント)のきれいな資料をいくら作っても、本質的な文脈を本音で語らなければ、意味がないと示唆する。

・第2の条件は、オープンネスである。新しいアイデアに対して絶えずオープンであれという。万華鏡(カレイドスコープ)のような多様性が必要である。見え方は、角度や方向によって異なる。リーダーが、それはダメといったらお終いである。イノベーションにはジョークやわるふざけが必要である。インテルインサイトやiTunesストアは新しいアイデアの固まりとして登場した。

・第3の条件は、ビジョンである。ビジョンを示し、可能性を引き出し、コミュニケーションをとることである。ビジョンは情熱が持てるものでなければならない。インスピレーションを引き出すことが大切である。イノベーションは破壊的変化をもたらすので、絶えず人々を奮い立たせることが必要である。エンパワーして勇気づけなければ、夢はすぐに消えてしまう。逆に強制するだけでは脅威となってしまう。イノベーションは1人ではできない。いかにつながりを見出すかに掛かっている。シスコのジョン・チェンバースはそれを実行してきた代表格であると強調する。

・第4の条件は、コラボレーションである。ステークホルダーを巻き込んで、コラボすることである。間違いを起こすリーダーを見ると、ここを無視することが多い。しっかりしたパートナーシップを築くことである。いかに抵抗勢力を排除できるかがポイントである。アップルがiPhoneを出したのを見て、ベライゾンはグーグルと組んだ。イノベーションプロセスを他社に開放して、アンドロイドで対抗策を示した。

・第5の条件は、パーシステンスである。つまり、ねばり強さであり、決してあきらめないことである。イノベーションに挑戦する途中のプロセスにおいては、何もかも失敗したようにみえる。すべてが上手くいかない。このような中間期の局面を、彼女は「カンターの法則」と名付けた。努力をしても次々と躓き、時間もコストも浪費していく。先行きは予測できず、上手くいく方向が見えない。しかも、この中間期においては、批判者が次々と登場し、声を大きくしてくる。はじめは夢を受け入れていた人が、抵抗勢力となってくる。こうなるとチームは疲れてしまう。

・では、どうするのか。リーダーは粘り強く、頑張らせることが必要であるという。上手くいくのか、いかないのか分からない。そこでやめてしまうのか。その時の判断は、もう一度、第1~第4の条件を確認することであると、カンター教授は強調する。好奇心としてのニーズ、アイデアに対してのオープンさ、ビジョンを通じてのインスピレーション、コラボレーションとしてのパートナーを見直していく。ここに確信を持ったら、諦めずにしぶとく続けることである。

・イノベーションを創り出すリーダーシップは、この5つに基づくというのが、カンター教授の見立てである。当り前のようにも聞こえるが、それを実践できるかといわれれば簡単ではない。環境変化への適応力は、社内の組織能力の盛衰によって次々と変わっていく。富士フイルムは輝いている。オムロンの組織能力は相当高まっており、イノベーションを推進する力を有している。イノベーティブな企業かどうかを、この5つの視点を持って対話してみることを大いに実践したい。

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