奄美大島の地方創生とバニラ効果

3、奄振予算の使途で奄美は変わる

 バニラエアの新規参入を後押ししたのは「奄振」の補助金だと言われるが、じつは夏期最安運賃8000円には補助金は入っていない。最安8000円は「格安航空」事業だからである。冬期(10月26日~3月末)の5500には補助金が使われている。

 従来、奄振予算は土建事業中心のハード型インフラ整備に使われてきた。それを一部ソフト化し、今年度から航空運賃の補助金として使う。
 平成26年度の奄振予算は総額250億円(国費)である。そのうち230億円は従来型の公共事業費である。このほか、約21億円を「奄美群島振興交付金」として鹿児島県に渡す。この21億円は奄振のソフト予算であり、その中の「世界自然遺産登録に向けた観光キャンペーン」事業としてバニラエア等の航空運賃に補助金が出る。(表2参照)。

表2 奄振予算(平成26年度)

 観光キャンペーン事業は冬期閑散期対策であるため、夏期運賃は補助金の対象にならず、冬期(10月26日~3月末)の運賃の軽減に使われる。最安運賃が8000円から5500円に下がるのはその効果である。一般的な“運賃逓減”には使われていない。(JALにも需要喚起対策の補助金が出るので、冬期は先述の運賃より安くなる)。
(注)「航路・航空路運賃の逓減」の補助金項目(5.8億円)もあるが、これは離島住民(県内路線)及び旅行者(群島間路線)への運賃支援であって、東京~奄美、大阪~奄美路線への補助金には使えない。

 関係者からのヒヤリングによると、バニラエア向けは9千万円、JALグループ向け1.5億円になるようである。計2.4億円である(ただし、国費はその6割、1.4億円である)。バニラエアは冬期の対策があるため就航を決定したと言われる。奄振の9000万円は呼び水効果を持ったと言えよう。

 つまり、250億円のうち、たったの9000万円が奄美を活性化に導いたのである。土建事業中心から、観光産業振興への奄振のソフト化の効果である。奄振のカネの使い方の変化が、明るいニュースをもたらした。奄美の未来に可能性をもたらしたと言えよう。この事実を、補助金を受ける地方の人々はしっかり認識し、肝に銘じるべきであろう。

 一般に、土木事業等のハード型インフラ整備は、全国どこでも、地域振興にあまり役立っていない。その場限りの失業対策事業に終わっている。過疎化を抑制する役割を果たすことができないでいる。奄美の土建事業中心の奄振もそれに近い。ハード型インフラ整備が、持続的な地域振興に役立つものになるためには、補助金事業と地域振興をつなぐ“中間項”が必要である。それは「企業家」である。整備されたインフラを活用して、産業を興す人材こそ必要なのである。

 今回の奄振予算のソフト化は、「バニラエア」という企業の存在があって地域活性化につながった。企業家能力こそ、偉大なのである。

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