奄美大島の地方創生とバニラ効果

2、バニラエア効果

 全日空系列のLCCバニラエアの成田‐奄美便が7月1日から就航した。これで、観光客が一気に増えたのである。

 奄美への航空便は、従来、東京‐奄美便は日本航空の1社独占であった。そこに、全日空系列のバニラエアが参入し、東京‐奄美の旅客数は倍増した。2倍以上である。

 図1に示すように、東京~奄美大島の航空旅客数は、7月は去年8,543人から今年16,342人、8月は去年9,391人から今年18,590人に増えた(乗降数、奄美空港管理事務所調べ)。増加分はバニラエア(成田~奄美)の乗降客数である。

 バニラエア利用客は、7月9,090人(JAL7,252人)、8月9,862人(JAL8,728人)、9月9,216人(JAL n.a)と、羽田~奄美のJAL便より多い。ちなみに、座席利用率は7月84.2%、8月91.3%、9月85.3%と、非常に高い。奄美空港離発着の定期航空便の平均利用率は7月60%、8月70%であるから、バニラエアの成田~東京便は利用率が15~20%も高い。ほぼ満席であり、ドル箱路線である。

図1 東京~奄美大島便の乗降数(去年と今年の比較)

表1 奄美空港乗降客数       

 注目したいのは、格安運賃のバニラエア就航でも、JAL便は大きな影響を受けなかった。JALの旅客減少はわずかである。確かに、JALの羽田~奄美便の乗降数は、去年に比べ、今年7月15%減、8月7%減と減少したのは事実であるが、じつはバニラが飛ばない大阪(伊丹)~奄美便も、7月8%減、8月8%減であり、羽田~奄美のJAL便の減少はバニラエアの影響だけではないといえよう。

 バニラエアは、奄美への航空旅客の“純増”をもたらしたと言ってよい。“低運賃”が新しい市場を創造したのである。従来、東京~奄美便はJAL独占で、「世界一高い運賃」と言われてきた。そこに、格安航空会社が新規参入し、片道8000円という低料金が出現した。安い運賃が魅力になって、若い人たちを中心に利用客を創出したのである。また、奄美大島が世界自然遺産登録の候補になった話題もプラス要因になっているのかもしれない。

 ちなみに、JALの運賃は、普通運賃51,800円(片道)、特便割引7(7日前割引)33,700円、先得割引A(28日前割引)32,300円である。これに対して、バニラエアは夏期の最安運賃8,000円(冬期最安運賃5,500円)という安さである。この安さが寝ていた潜在的な需要を喚起したのである。需要の価格弾力性は大きい。
 (注、バニラエアの宣伝文句である夏期8,000円、冬期5,500円は、最安運賃額であって、出発曜日によって運賃額は大きく異なる。利用者は注意が必要。実際、例えば10月の最安運賃日は約10日であって、他の日は18,000円や25,000円の曜日もある。「8000円」はスーパーの目玉商品みたいな価格であって、客寄せのための特別な超特価である。商売の常套手段であるが、消費者の立場から言えば、最安運賃の日をもっと増やしてもらいたい。あるいは高額運賃をもっと引き下げてほしいところだ)。

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