加藤産業(9869)

このところ、世界的な景気減速傾向に対する警戒感から、株式市場は軟調な展開になっています。そこで、そろそろ本格的なディフェンシブストックに注目してみたいと思います。

そんな中、食品メーカーがコストアップで、製品値上げを始めています。そこで、メーカーの値上げによって恩恵を被る加工食品卸売業が注目されます。メーカーが値上げをして、なぜ卸売業が儲かるのかという疑問を抱くのが一般的ですが、業界内部から見れば普通の現象です。

加工食品卸売業のこの2年ほどの業績は低迷していました。この背景はメーカーのコストアップと、卸売業自体のコストアップがあります。卸売業のコストアップは物流費が中心ですが、これは簡単に理解できると思います。しかし、メーカーのコストアップと卸売業の利益の関係はかなり複雑です。

メーカーはコストアップになると、製品価格に転嫁しようとしますが、製品価格への転嫁には2段階あります。最初は値引き販売を少なくすることになります。卸売業はメーカーと小売業の間に立って、メーカーから値引きの原資となる販売促進費を引出し、それを小売業にわたし、小売業をサポートします。しかし、その販売促進費が減少し始めますと、小売業に渡す分も減らさなければなりませんが、どうしても小売業に渡す分の縮小交渉が他社との競争の中では遅れ気味になります。そして、卸売業の業績の圧迫要因となります。

ところが、値引きの抑制が一巡しますと、次にメーカーは製品の価格改定を行います。この製品の価格改定はメーカー、卸、小売りそれぞれにプラスに働きます。単純化すれば、メーカー、卸、小売業の取り分は製品価格に対して一定率という取り決めが多いことによるものです。つまり、メーカーが価格を10%引き上げれば、それぞれの基本の取り分が10%増えることになります。

多分、こう説明しても業界関係者でないと、なかなか納得できないものがあると思います。そこで、前回のコストアップ、値上げ局面での上場大手加工食品卸売業3社(加藤産業、三菱食品、伊藤忠食品)の四半期営業利益の合計値推移で説明します。

前回の業績落ち込み期はグローバルな景気拡大によるコストアップ時の2005年から2007年にかけてです。ピーク比で約55%まで営業利益は落ち込みました。しかし、その後2007年半ばからのメーカーの相次ぐ値上げで業績は急回復しました。しかも、リーマンショックがあった2008年から2009年にかけても全くその影響を受けていません。まさに、ディフェンシブストックの面目躍如といったところです。

加工食品卸売業と言っても、内容は千差万別で、上位5社は前述の3社に未上場の日本アクセスと国分を加えたものです。しかし、その中で伊藤忠食品は利益面でかなり苦戦していまして、かつては加藤産業と営業利益は同水準でしたがいまや利益面で加藤産業の半分以下となってしまいました。

また、国分も苦戦気味で、加藤産業に抜かれ始めています。そういった意味で、銘柄としては加藤産業と三菱食品ということになり、バリュエーションもほぼ並んでいます。ただし、三菱食品は昨年4月に体制が変わり、名実ともに三菱商事の会社となり、ポテンシャルを感じる部分と、今後運営力を見極めなければならない面がありますので、今は加藤産業に注目したいと思います。

なお、データや業績推移の詳細はこちらのレポートからご覧いただくことができます。こちらのレポートには三菱食品や伊藤忠食品のデータも掲載されています。
「メーカーの値上げで注目される加工食品卸売業」
http://cherry100.mods.jp/ra/s/812

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