「攻めの農業~和食がユネスコ文化遺産となる中で」

・農林水産業の6次産業化が合言葉になっている。本当に進める気があるのか。林芳正農林水産大臣の話を聴いた。

・土地や品種を改良するというサプライサイドの政策からから、デマンドサイドの政策へ転換し、マーケットインを志向する。国内の従来型の食に関する市場は伸びないかもしれないが、世界の食の市場は2020年に向けて2倍へ、その中でアジアは3倍に伸びると予想される。国内でも、狭義の農産物という従来の見方に捉われなければ、大いに伸ばす余地はある。

・農業は他の産業との連携が大事であり、6次産業化を図る方針だ。1次産業(農産物の生産)、2次産業(食品加工産業)、3次産業(食のサービス産業)を組み合わせて、高付加価値化を追求していく。1+2+3=6、1×2×3=6、どちらも6になる。とりわけ、生産者が消費者に触れることがポイントである。例えば、ある農家レストランでは、季節のメニューを決めてから、作付する農産品を決めるという。これなどは、まさにマーケットインの考え方である。

・「攻めの農林水産業」の4本柱は、①多様な担い手を育成し、確保するために生産現場を強化する、②6次産業化の推進に向けて、需要と供給をつなぐバリューチェーンを構築する、③FBI戦略(From-By-In)を軸として需要フロンティアを拡大する、④コミュニティの再生に向けて農山漁村の機能を多面的に発揮させる、という点にある。

・その中では、産業政策と土地政策がポイントである。需要拡大に向けたデマンドサイドの政策では、国内においては「医福食農連携」を推進する。具体的には、1)日本食と健康に関する科学的知見を生かす、2)介護食品を地産地消で育てていく、3)中国からの輸入が多い漢方薬用原料を国産化する、4)学校給食における地場利用の定着を図るなど、工夫の余地はいろいろある。

・例として面白いのは、みかんなどの柑橘類に豊富に含まれているβ-クリプトキサンチン(β-CRP)を、科学的根拠を持って「アシタノカラダ」という飲料にしたことである。愛媛の温州ミカンにその成分を多く含むことが分かり、それを活かして商品化を進めた。その健康効果は、骨粗鬆症の予防、糖尿病の進行抑制、免疫力の向上、美肌効果などに関連するといわれる。健康食品としての展開だ。

・食のグローバル展開では、FBI戦略を一体で進める。FBIは、Made From Japan、Made By Japan、Made In JapanのF、B、Iをとっている。Fromでは、世界の料理界で日本の食材が活用されるように推進する。例えば仏料理では、日本のゆず、なまこ、だし、うまみなどが利用されている。Byでは、日本食ビジネスをクールジャパンの一環として海外で展開する。その進出を支援する。

・Inでは、日本で作った食品を国別、品目別に目標を定めて輸出の拡大を図っていく。2012年の4500億円を、2020年には1兆円の輸出額に持っていく方向である。そのサポートとして、ジェトロを使ったマーケティングや、各国の検疫がスムースにいくような交渉に力を入れて、輸出の窓を広げようとしている。中東、イスラム国向けのハラルについても対応していく。

・また、サプライとデマンドをつなぐバリューチェーンの拡大による6次産業化に向けて、それを支援するファンド作りを本格展開している。このA-FIVEファンドを全国に50本作ろうとしており、2月現在で39本のファンドができた。

・オランダでは少人数の家族でパプリカの生産を大規模にやっている。機械化がかなり進んでいるからである。こうしたやり方を日本流にアレンジすることも狙っている。ロボットやスマート技術を応用していく。品種改良では、パンを作る小麦、ラーメン専用の小麦など、バリューチェーンの連携を深めることで、6次産業化を推進し、その市場を現在の数兆円から2020年には10兆円に持っていく方向である。

・土地政策では、農地集積が生産現場の強化に結び付くように、政策を進める。具体的には、「農地中間管理機構」を整備し、農地が活用できるようにもっていく。今や耕作放棄地は40万haと、滋賀県全体と同じ規模になっている。これを、新規参入も含む農業の担い手が活用できるようにする。生産者が行政の生産数量目標に頼らず、自らの経営判断で需要に応じて、生産できるようにする。

・比喩的に言えば、補助金がもらえるから米を作ろう、ということではなく、農地はしっかりした担い手に預けて農業をやってもらうけれども、水路や農道は従来の農地所有者も含めてみんなで守って行こう、ということである。そこでは働きに見合ってお金が出るという仕組みにする。これで農業の担い手は生産に集中でき、農地所有者やその周辺の人々も農地・資源を守るという仕事で収入が得られることになる。

・水田では、米以外も作れるようになる。米でも、エサ米を作れるようにする。輸入トウモロコシと戦って、ここに補助金を出す。これは収穫時期が違うので、作業の平準化にも役立つ。こうしたことをパッケージで進めようとしている。

・需要があるなら工夫して作ってよい。自由度を高めることによって、当り前のことができるようにすると、林農林水産大臣は強調する。話を聴いていると、従来の路線とは一線を画するような政策になりそうである。が、本当に中身を伴って実行されるのか。総論賛成・各論停滞では、農業の衰退は止まらない。方向は見えているので、インセンティブが働くような仕組みに作り上げ、実践してほしいと願う。

・農業で働きたいという人には、新しい雇用機会となろう。企業にとってもビジネスチャンスとなるので、投資家による資本の効率的な利用という点で、資本市場の活性化にも貢献するものと期待される。

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