~医薬品製剤用の造粒・コーティング機械で、世界の最先端を走る~
ポイント
・今2015年2月期から始まった新中期3ヵ年計画では、製品開発と市場開拓に一段と力を入れる。2017年2月期で、売上高230億円、経常利益23億円を目標とする。鍵は海外市場の拡大にあり、海外売上比率を25%から40%に上げようとしている。インドなど新興市場に合った製剤コーティング機械や、米国での産業用粉体機械、欧州でのジェネリック用装置や高度製剤技術の応用など新しい分野を開拓していく方針である。
・前2014年2月期は、計画に対して売上高、営業利益とも未達となった。インド市場の開拓の遅れ、産業粉体用機械の需要低迷、化成品原料のコストアップ、特許切れ医薬品用添加剤の落ち込みなどが響いた。今2015年2月期の回復も鈍い。薬価改定の影響で足元を慎重にみる必要があることと、新製品と市場開拓の効果が顕在化するには少し時間を要するからである。
・当社は、製剤技術をキーテクノロジーに、薬の錠剤・顆粒剤を作る時の製剤機械とその添加剤である化成品の両方を手掛けるユニークな企業である。技術開発に優れ、錠剤を作る造粒・コーティング装置では国内で70%近いシェアを有し、グローバルにみても欧州のグラット社、ゲア社と並んで世界3強の地位にある。
・米国子会社のフロイント‐ベクターは欧州、南米、中近東もテリトリーとし、現地にあった製品づくりで、日本のフロイント産業と分業している。ミラノを拠点に、旧東欧諸国及び中近東も含めたエリアを開拓しようとしている。アジア展開は日本からマーケティングしているが、今後は製販の現地拠点も必要になろう。アイルランドのフロイントファーマテックは、製剤技術の開発でまだ先行投資期にあるが、順調に前進している。
・浜松の技術研究所は事業部体制の再編を受け、顧客へのソリューション提案力を強化する。今回の中期3カ年計画では、世界トップクラスへ飛躍することをめざし、海外市場の拡大に一段と力を入れる。独創的な製剤技術を活かした研究開発型企業として、売上高営業利益率10%を目指す。業績が伸びるのは確実であるが、計画の達成にはもう一段の市場開拓が必要である。業績の向上につれてROEは10%を超えてくるので、今後市場での評価も一段と高まってこよう。
目 次
1.特色 医薬品用製剤機械の独自開発で発展
2.強み 日本では圧倒的No.1、世界でも3強の1社
3.中期経営方針 新中期計画では海外市場の開拓を一段と強化
4.当面の業績 足元は慎重ながら、来期の増益幅は拡大へ
5.企業評価 海外市場の拡大と利益率の向上が鍵
企業レーティング | B |
---|---|
株価(14年5月9日) | 1312円 |
PBR | 1.11倍 |
ROE | 7.7% |
PER | 14.1倍 |
配当利回り | 2.3% |
時価総額 | 121億円(9.2百万株) |
総資産 | 15550百万円 |
純資産 | 10392百万円 |
自己資本比率 | 65.8% |
BPS | 1187.5円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2007.2 | 11539 | 615 | 640 | 403 | 46.7 | 10.0 |
2008.2 | 13104 | 931 | 1021 | 943 | 109.4 | 15.0 |
2009.2 | 13478 | 958 | 1056 | 619 | 71.8 | 15.0 |
2010.2 | 12943 | 970 | 951 | 563 | 65.4 | 15.0 |
2011.2 | 13257 | 680 | 698 | 516 | 60.0 | 15.0 |
2012.2 | 15236 | 1065 | 1123 | 608 | 70.6 | 15.0 |
2013.2 | 16396 | 1470 | 1618 | 765 | 88.8 | 20.0 |
2014.2 | 17616 | 1286 | 1341 | 787 | 91.4 | 25.0 |
2015.2(予) | 18000 | 1340 | 1420 | 800 | 92.8 | 30.0 |
2016.2(予) | 19500 | 1700 | 1750 | 980 | 113.7 | 30.0 |
(14.2ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは2015.2期予想ベース。2009年6月に1:2の株式分割を実施。それ以前のEPS、配当は修正ベース。2015.2期の配当は50周年記念配5.0円を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、①経営者の経営力、②事業の成長力・持続力、③業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/furoinntosanngyou201405.pdf