アベノミクス第3の矢が放つROE向上策

 アベノミクスによる株価上昇を経た現在でも、日本企業はPBRが1倍台前半という割安で放置されています。米国企業のPBRは平均で約2.5倍であり、それと比べて半分程度となります。この現象は、日本企業のROEは平均で約8%と、米国や欧州の約15%と比べて半分程度しかないから妥当であるという説明がしばしば試みられます。
 この低いROEの理由は、日本企業が世界に向けて価値のあるモノやサービスを作れていないからではなく、経営者が株主に利益を配分しなければならないという意識が薄いからだという意見もあります。前者に比べ後者の改善は、経営者の意識が変われば良いだけなので簡単なはずですが、日本においては長年にわたって経営者の意識の改善はみられていないという意見もあります。
 しかし、数年以内に経営者の意識は改善され、ROEが欧米並みになると意見も出ています。
 一つ目の理由は、今年から算出が始まったJPX日経400インデックスです。このインデックスは日本取引所グループと日本経済新聞社が共同で開発しました。約400銘柄を組み入れるこのインデックスに採用されるにあたってはROEの水準がとても重要であり、時価総額が大きくてもROEが低ければ採用されないとされています。
 実はこのインデックスは、従来のインデックスを年に数%アウトパフォームするといった、小さい目的で作られるスマート・ベータとは、開発された目的がまったく異なります。世界最大級の機関投資家であるGPIFは日本の厚生労働省の管轄下に置かれていますが、アベノミクス第3の矢である成長戦略の1つとして、GPIFにこのインデックスへの投資を促し、日本の経営者の意識をROEへ向けさせようとしているという意見が出ています。2005年ごろの日本株式の上昇を主導した小泉政権でも大臣として活動し、現在でも安倍政権に助言している竹中平蔵氏は、メディアとのインタビューなどで、GPIF改革について繰り返し触れています。また、甘利経済再生担当大臣の下に設置されたGPIF改革の具体案を策定する有識者会議のメンバーである堀江貞之氏は、GPIFは経営者に対してROEを意識した経営を促す責務があると述べています。さらに、このインデックスがTOPIXよりリターンが高いかどうかは重要ではなく、ROEの向上を通じて長期的に日本株式全体を上昇させることが重要であると述べています。

 つまり安倍政権はこのインデックスの採用をGPIFに促すことにより、経営者にROEを向上させようとしていると言えます。ROEが低下すれば自動的にこのインデックスから外されることになります。ROEが低下すれば”自動的に”投資に値しない会社にしてしまった経営者というレッテルを張られて、巨額な資金が引き上げていくことも考えられます。
 二つ目の理由は、議決権行使助言サービス最大手のInstitutional Shareholder ServicesInc. (ISS)が、ある閾値以下のROEの企業に対しては、経営者の続投に反対することを機関投資家へ助言することを検討していることが挙げられます。日本においてもパッシブファンドは普及しており、最も普及しているパッシブファンドのベンチマークはTOPIXですが、TOPIXは構成銘柄が1,700銘柄以上あり、しかも株主総会が6月に集中することもあって、パッシブのファンドマネージャーは短時間に多くの株主総会議案に対して指図しなければなりません。そのため、ISSのような助言サービス業者の助言に頼っているマネージャーは多いとされています。そのため、ISSが経営者の続投に反対するような助言をした場合、その助言に基づいてマネージャーから多くの反対票が投じられることも想定されます。
 最後に、このようなROEの改善によって株価がどのようになるかの見積もりを見てみましょう。楽観的な前提は含んでいない我々の見積もりでは、ROEの改善を通じてPBRが米国並みになることによって、日経平均株価(2014年1月末時点で14,914円)は、2倍くらいの3万円となると見込んでいます。

※当コラムに掲載された予想株価は、あくまでも現時点におけるシュミレーションであり当コラムの内容の理解を深めて頂くためのご参考として掲載したものです。将来の株価等を示唆するものではございません。

このページのコンテンツは、スパークス・アセット・マネジメント㈱の協力により、転載いたしております。
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