ドラッグストア

中国のドラッグストア

 薬から日用品まで幅広く取り揃えたドラッグストアという業態は日本ではすっかりお馴染みとなっており、長期にデフレが続く中でも大手を中心に成長を続けてきました。日本チェーンドラッグストア協会によると2001年に約3兆円だった日本のドラッグストア市場は2012年には約6兆円に倍増しました。
 中国にもドラッグストアのような業態があります。厳密に言うと、薬は薬局で買うのが一般的で、中国のドラッグストアは主に医薬品以外の化粧品や日用品を扱っており、バラエティストアとも呼ばれます。この中国版ドラッグストアで最大手なのが香港系のワトソンズ(漢字表記:屈臣氏)です。ワトソンズは2013年11月時点、中国で1600店以上の店舗を運営しており、中国や香港のショッピングセンターなどでよく目にする店舗です。中国で2位のマニングス(漢字表記:万寧)の店舗が200店弱なのでワトソンズとの差は圧倒的であることが分かります。

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中国と日本のドラッグストア

 ワトソンズの2012年度業績を見ると売上153億香港ドル、営業利益27億香港ドル(日本円で1720億円、営業利益309億円※)で営業利益率18.0%と非常に高収益です。日本の大手ドラッグストアの営業利益率(2~6%程度)と比較すると利益率の差は非常に大きいことが確認できます。この差は日本のドラッグストア業界に比較して中国での競争環境が緩やかであることが一つの要因と考えられますが、それ以上に双方のビジネスモデルの違いに起因するところが大きいと考えられます。
 日本のドラッグストアは商品の仕入れ金額と販売金額の差額を利益としていますが、ワトソンズの場合はまず納入時点で表示金額の10%程度を「棚代」として徴収し、販売時点で実売価の5%程度を「買上手数料」として徴収する仕組みとなっています。その結果、仮に商品が売れなかったり、値下げをしたりしても納入時点で棚代が徴収できるため安定的に高い利益を確保できることになっています。ワトソンズでは基本的に全店舗で商品を統一し、集客や販売促進を積極的に行っているため、ワトソンズが取り扱うことによる認知度向上効果は非常に大きいものがあります。よって納入しているメーカーにとって、ワトソンズは広告媒体としての機能も担っていることになり、高い手数料はその対価であると見ることができます。この仕組みだと、ワトソンズの規模が大きくなればなるほどメーカーにとって重要性が高くなり、より良い条件での取引ができるという好循環が生まれる形になりますが、逆に他社の追い上げでシェアが低下すると全てが逆回転するリスクがあるため、事業モデルを維持ずるためには出店を継続し続けることが求められます。実際にワトソンズは今後も出店を加速させ2016年末までに現在の倍の3000店舗に増やす計画を掲げています。

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 なお、ワトソンズは華人一の大富豪と言われる李嘉誠の企業グループの一社であるA.S.ワトソンズ社が運営していますが、このA.S.ワトソンズが現在株式上場の準備をしているという報道がなされています。上場の主目的は成長加速に向けて資金調達やガバナンスの強化であると思われますが、グループ企業全体を見渡すと別の事情も見え隠れします。
 実は今年の夏頃から李嘉誠一族やその経営する企業が中国、香港の資産を売却し始めているという噂が流れはじめています。実際にグループ企業が中国本土の不動産を売却したという発表もなされていますし、A.S.ワトソンズが傘下のスーパーマーケット業態を競合他社に売却するという噂も流れていました。結局、スーパーマーケット業態の売却話はなくなりましたが、その後に出てきたのがA.S.ワトソンズの上場観測記事です。李嘉誠は近年ヨーロッパでの買収を積極的に行っており、一連の動きは資産を中華圏の外にシフトする動きにも見えます。
 中国では生活の質向上や個人消費の育成が政策の重要テーマに掲げられており、ワトソンズの将来性には大いに期待ができる一方で、中国への積極投資で成功した大富豪の投資行動の変化は中国の先行きに対する懸念の現れである可能性もあるため、様々な角度から注目に値する動きと言えそうです。

(チャナリスト)

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