「桐一葉」から歴史的転換点を考える

謹賀新年  2014年  From 武者リサーチ

2013年に起こった、歴史的変化の前兆
「桐一葉落ちて天下の秋を知る」(他よりも落葉が早い桐の葉が落ちることで、秋の訪れを知る)は豊臣家滅亡の大事を予見した片桐且元の言葉とされる。一事を見て大局を知る、英語では「A straw shows which way the wind blows」。2013年に近い将来に間違いなく起きるであろうことの二つの前兆が現れた。

2013年の「桐一葉」第一は米国株式価格の過去最高値更新である。それは米国主導で世界資本主義経済が新たな繁栄の時代に入りつつあることを示唆している。最早危機モードが終わり、悲観・諦観が大きな誤りの時代に入ったことを我々に告げている。

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「桐一葉」の第二は、北朝鮮における恐怖の独裁政治が、だれの目から見ても苛烈になったことである。それは資本主義・民主主義体制の唯一の代替策であった「マルクス・レーニン主義=共産主義」が滅亡過程に入ることを予告している。それは戦後地政学の大転換であり、特に東アジアの政治地理を根底から変えていく。

このように2014年は「資本主義の未来」と「戦後世界秩序を支配した地政学」という二つの要素において、これまでの常識が根底から覆されるだろう。アジアにおける資本主義・民主主義体制の最大の担い手である日本にとっては、政治・経済・市場において望ましい展開になるであろう。

(1)「マルクス・レーニン主義」の終焉と戦後地政学の大転換

崩壊過程に入った北朝鮮?
北朝鮮の未熟・幼稚な世襲独裁者による夥しい処刑が露呈し、その末路も見えてきた。彼が巨大な軍事能力と核のボタンをほしいままに動かしている危険性を、米国をはじめ世界の民主主義国家は放置できない。また言論統制下にある北朝鮮国民も、その残虐性を理解しているはずである。北朝鮮独裁者が経済や政治において持続可能な、適切な政策選択をする能力があるとは到底思われない。2014年に北朝鮮は体制崩壊過程に入ることになるだろう。それはまず経済困難の進行と対外的冒険主義という形をとると思われる。

北朝鮮の現体制は「マルクス・レーニン主義」の歴史的帰結に他ならない。しかし、いまだに「マルクス・レーニン主義」に対する幻想は大きな影響力を持っている。世界最大の経済大国にならんとしている中国の国家統治思想は「マルクス・レーニン主義」である。日本においても言論界、学会、メディアにおいて穏然たる「マルクス・レーニン主義」信奉者が多数存在している。その特徴は反権力、反体制を、正義論や倫理論を隠れ蓑にして主張するだけで、対策・解決策を一切提示しないことである。そのような論者の主張・心情は、結果によって論理の正当性を検証されることがないので、国民世論の形成が歪められ、国民の知的頽廃をもたらすことになる。

マルクス・レーニン主義終焉の予兆
冷戦は1991年のソビエト連邦崩壊によって終焉したと考えられているが、それは正しくない。アジアにおいては依然として資本主義・民主主義に代替し得る唯一の体制として、「マルクス・レーニン主義」が健在なのである。理想と正義感発露の対象として長い間若者を魅惑し続けた「マルクス・レーニン主義」が、レーニン、スターリン、毛沢東、ポルポト、日本では連合赤軍など、繰り返し、繰り返し多くの虐殺をもたらし続けた張本人であったこと、その延長上に今日の北朝鮮体制があることを、今や誰も否定できないのではないか。

「マルクス・レーニン主義」は「民主集中制」という組織原則によって、専制と無謬性を正当化してきた。虐殺も苛政もその帰結に他ならない。「民主集中制」とは、少数は多数に従い、下級は上級に従うという、絶対服従を正当化する組織原則であり、もともとは暴力革命を遂行するための秘密軍事組織の統治形態であった。暴力革命を遂行する過程では、少数派の抑圧抹殺、革命成立後は専制権力絶対化の手段として機能してきた。それは民主主義とは対極の組織原則であり人間関係である。合議制や議論のフィードバックが否定されていることで、自己否定や軌道修正が不可能化されている仕組みと言える。

自己変革が起きないとすれば、北朝鮮は経済困難の進行による自己破滅または自暴自棄の対外的冒険主義に行きつかざるを得ない。2014年以降は北朝鮮の変化がきっかけとなり、アジアにおける力の均衡が破れるだろう。

習近平はマルクス・レーニン主義を揚棄できるか
北朝鮮の変化は直ちに中国に絶対的影響を与えるだろう。中国共産党が自己正当化、自己純化という北朝鮮型の破滅の道を辿るのか、「マルクス・レーニン主義」と民主集中制を放棄し、完全なる資本主義・民主主義国家として再生するか、中国国内で国論を二分する戦いが起きるだろう。「過去の過剰投資のつけが金利の乱高下をもたらす」という形での経済困難が顕在化しつつある場面で、路線選択が問われることになる。中国の混乱化は不可避であろう。就任から一年が経過し指導力を確立した習近平主席が、ソ連共産党のゴルバチョフ氏のように、「党専制を自己否定するか否か」は、中国の将来を分かつだろう。自己否定できないとすれば、遅かれ早かれ北朝鮮型の内乱と自滅の道を辿らざるを得なくなる。2014年にはその見極めがよりはっきりしてくるだろう。

そうした東アジアの波乱は、米国を軸とした世界資本主義・民主主義諸国の結束を強める方向に作用する。その結果、アジアで最大の資本主義・民主主義国日本の地政学的プレゼンスは大きく浮上せざるを得ない。

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