みているものが違う

拙著「実践・生き残りのディーリング」では、「市場は異なった考え方の人々が、同じ目的で集まって機能しているといえます」と書いた。

しかし、市場そのものを否定し、異なった目的を持つ人々も多くいることを、最近痛感させられている。

・誰のための投資家セミナーか?

私はかって某社のニューヨーク現地法人で、日本の金融機関相手のリレーション担当をしていた時期があった。そこでは、毎月、同社の関連会社からエコノミストやアナリストを招いて、機関投資家セミナーを催した。

当地に出てきていた日本の都市銀行、地方銀行、信託銀行、生保などは、米国の情報を日本に伝えることも仕事の一部だったので、米経済や、企業業績に関するセミナーへの出席率はそれなりに高く、社内の会議室でのセミナーはほとんどの場合が満席だった。

そういったある日、私は同社の同い年だが先輩となる同僚から注意を受けた。「矢口、お前どうして後ろの方で突っ立っているんだ?」。私は先輩だが、同い年の同僚なので口答えした。「お客さんが立っている時に、自分も立つのは当然でしょう。」

「お前、このセミナーを開いている目的を知ってるか? 俺たちの顔を売るためだぞ。だから、俺はいつも講師の隣に座ってるんだ」
「ここに来ているお客さんたちは、全員、自分たちが電話して呼んだ人たちだ。もう、十分に顔は売れている。招待客が立っていて、ホストが座っている神経が分からない」

その事があってから、私は席に余裕がある時には講師を挟んで、先輩同僚と並んで座ったが、招待客が1人でも立っていると、私も立っていた。我々の会話は、この例だけに限らず、どこまで行っても平行線だった。私が全く考え方の相容れない人に出会った最初の例となった。

・猪瀬東京都知事に対するいじめ

猪瀬知事が辞任を決めた時、「最後まで私の言っていることが理解して貰えなかった」と語ったようだ。そしてテレビの視聴者調査では、少数ではあるが、猪瀬知事を支持し、辞任するべきではないとする人々がいた。都議会中継を、公開「いじめ」だと見なす人もいた。

テレビで猪瀬知事は「何せ、20時間ですよ」と言っているのを見たが、氏の意味するところは、「20時間も都政を停滞させてしまった」ではなく、「20時間かけても、理解させることのできない連中だ」という意味だったのかもしれない。

私などから見ると、毎回、話の内容が2転3転し、極め付きは「このかばんに間違いありません。私が自ら運びましたから。入ります」と断定しながら、5000万円を入れるには小さ過ぎたかばんに、汗だくで押し込もうとする知事の言っていることは、奥が深すぎて理解不能だ。そして氏自身が何度か、「案外、覚えてないものですね」とも言っていた。何を理解して貰いたかったのだろうか?

それでも20時間は氏にとっては意味があった。その間にボーナスが支給されたし、辞任の日は新著の出版日でもあった。これほど合理的な考え方をする人が、他人には非合理を強いるというのは、よくある話だと言ってしまえば、それまでなのだが。

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