乱高下相場で損失が大きかったのは短期投資家?長期投資家? 「一日信用取引」利用者データで分かった“常識の嘘”

───松井証券シニアマーケットアナリスト・窪田朋一郎氏に聞く

 いわゆる“5.23”に突如発生し、以降、投資家たちを翻弄した乱高下相場。夏場を迎え、やや落ち着きを取り戻した感もあるが、それでもかつてと比較すれば、株価のボラティリティが高い状況は依然として続いている。アベノミクスによる活況相場と、信用取引の制度改正が相まって、今年に入って急増したと言われる信用取引の短期トレーダーは、その最たる被害者であると喧伝された。
 ところが、このような一般的な認識とは異なったデータが上がってきた。今年の1月にスタートし、デイトレードに限って手数料が無料になるというサービスで人気を集めた松井証券「一日信用取引」利用者の売買データを見ると、実は短期投資家の方が、中長期の投資家と比較して損益状況が良い、ということが明らかになったのだ。
 では何故、世間一般の認識と異なる結果が生じたのか?本稿では、相場動向と個人投資家の心理を長年観察し続けてきた「日刊株式経済新聞」副編集長の中村潤一が、松井証券シニアマーケットアナリストとして個人投資家動向を日々分析する窪田朋一郎氏に話しを伺い、「デイトレードはリスクが高い」という“常識の嘘”の解明に挑んだ。

 

デイトレードはローリスク・ローリターン

中村 窪田さんにはいつも、マーケットアナリストとして「日刊株式経済新聞」へのコメントでご協力をいただいていますが、今日は興味深いデータの分析をしていただけるということで楽しみにしていました。まず松井証券の「一日信用取引」の利用者特性について改めて簡単に説明していただけますか?

窪田 当社の「一日信用取引」はデイトレードを前提としたサービスで、日中に決済すれば手数料が無料、金利・貸株料が0~2%とコスト面で優位性がある一方で、原則、翌日以降へ建玉を持ち越すことができません。ですから利用者の方々も、ガンホーやソフトバンク、ケネディクスなど比較的日中の値動きの激しい銘柄を中心に取引し、その日のうちに手仕舞いをする。
 こうしたデイトレードは、利益も大きいけれど損失も大きいのではないか、という世間一般の認識があるようですが、それが当社の顧客の損益データ(図表①参照)を見る限り全く当てはまらないのです。5月23日の記録的な株価急落以降、6月にかけてお客様の損失は拡大傾向にあったのですが、「一日信用取引」の利用者に関しては損失の拡大を回避しているのです。逆に通常の信用取引を利用している方々は、損切りのタイミングを逸して傷を深くしているという結果が出ています。

図1

中村 なるほど、興味深いデータですね。しかし、「一日信用取引」以外でも、損切りしようとすればできたと思うのですが…。

窪田 はい、もちろん可能なはずですが、一般的な投資家心理としてなかなかそれができない。皆さん、株価が急落しても「明日はいったん反発する」と思って持ち続けてしまい、損失が膨らむのです。一方、「一日信用取引」では持ち越しができませんから、そうしたことはできない。結果的にこの仕組みが利用者の皆さんを助けているということが言えるのではないかと思います。

中村 そういう意味では「一日信用取引」は下げ相場に強いと言えますね。ただ、逆に上げ相場の時は利益が限定的になるということも言えるのでは?

窪田 おっしゃる通りで、上げ相場に関しては「一日信用取引」より通常の信用取引の方が利益を上げています。今年も5月23日までは、通常の信用取引の方が利益は大きかったのですが、突然こうした波乱相場に転じるとは誰も考えていなかったですからね。結果的に現在では「一日信用取引」利用者の方が損益状況はいい。ひとつ明らかになったことは、長期投資が安定的なリターンを求めるのに適していて、短期投資はリスク、リターンともに変動が激しい、という一般的な常識とは全く逆の結果が出ているということです。

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