なぜ、株式か?

・為替と債券のプロ

私は出身の証券会社で、ニューヨーク現地法人への転勤に際して、公社債商品本部から株式商品本部へと異動した。そこでビザ待ちの2、3カ月間、アナリストたちから株式についての徹底研修を受けた。そして、ニューヨーク拠点で行ったのが、本邦の金融機関、機関投資家のニューヨーク拠点に対するリレーション担当と、アメリカ株営業だった。

毎日、エコノミストやアナリストたちの話を聞き、生保や信託銀行のファンドマネージャーたちと意見交換することは、それまでの値動きに合わせて売買する為替や債券のディーリングよりも、はるかに勉強になったと思う。いや、値動きに合わせる習慣を得た後で、様々な商品や理論に接したことは幸運だった。

とはいえ、自前の相場観から、売買、損益と、自己完結できるディーリングと比べ、会社のエコノミストやアナリストの意見を理解し、消化し、それをプロの顧客に紹介し、逆に教えられながら、顧客の売買の取り次ぎをする営業は、勉強にはなるがフラストレーションがたまる。ニューヨークへの転勤を希望したのは、本場で米国債を売買したかったからだと直訴し、当地での債券部に戻して貰った。とはいえ、米国債市場はアメリカ人の世界で、私は外国為替課を任されることになった。

そこまでして貰っても、先に移った同社の先輩の引きで他社に移ったのだから、身勝手極まりない奴だった。若気の至りというしかない。会社に対して多少の貢献はできたとは思うが、それ以上にどこまでも我儘な奴だった。今思えば、社会人として恥ずかしい。おまけにその後もロンドンで採用してくれて、希望通りの仕事をさせてくれたので、私は今もその会社に恩義を感じている。

ある意味、人の道を踏み外してでも、歩きたかった道が、プロの道だ。為替と債券のプロというのは、私にとって金儲けや処世の手段ではなく、極めるべき道だったのだ。それは今も続いている。

・株式の面白さ

そんな私が株式を運用している。こうして株式の面白さを啓蒙している。

為替や債券のディーリングは、基本的に単一商品の売買だ。その意味は、基本的にドルの上げ下げ、金利の上げ下げを注視することになるからだ。為替はそれでも、円の上げ下げだけを見ているなどと言うことも可能だが、債券はすべて主要金利に連動して動く。その方向を知るには、為替も債券もマクロ経済のファンダメンタルズを見て、相場観を組み立てていく。そうでない場合には、値動きに反応して、あえて方向感を持たない短期売買に徹することになる。

今も、個人として為替のトレードは行っている。幸いにしてプラスは維持できている。というより、方向を決め、簡単には届かないようなところに少額の指値オーダーを入れて、多少の評価損には目を瞑り、利食えるところで利食っている。負けたくない思いが強いので、いったんクローズしたなら、再エントリーは難しい。1~2週間で1回の売買しかないようなやり方だ。とはいえ、方向感を持たない短期売買は疲れる。ディーリングルームでそれだけを専業でするのでなければ、なかなか集中力も保てない。今の私には難しい。

簡単には届かないようなところに指値を置くと書いたが、実際には1~2週間で1回は届き、尚且つ、しばらくは評価損を抱えることになる。ボラティリティは思いの他大きくて、目先の値動きを追っていれば惑わされてしまう。損切りが大事だと言う私が、一時的にせよ評価損を抱えるのは、もともと耐えられるだけの少額のポジションに加え、納得できるポイントでエントリーしているからだ。クローズした後は、納得できるポイントが来るまで、しばらく再エントリーできないでいる。これが、最も負ける可能性が低い手法だとは思うが、そんなに儲けることもできない。これは為替が基本的に単一商品だからだ。

株式は違う。銘柄数が多く、個性的な動きをするので、毎日、幾つもの銘柄が納得できるポイントに来ている(それはエスチャート・スクリーナーで分かる)。私は今後株式が、自分の人生スパンでは空前絶後の大相場になると見ているので、納得できるポイントとは、谷越え確認のポイントだ。

大相場になると思っているので、ロングポジションはずっと持っていたい。とはいえ、持ったままでは、何もできない。リスクも大きい。現に5月につけた高値を、3カ月になろうとするのに、まだ抜けないでいる。持ったままだと、評価損を抱えたままなのだ。毎日、谷越え確認銘柄を見つけても、強気だからと目一杯投資して、評価損を抱えていたなら、何もできないことになる。

私は投資顧問会社を5月に譲渡したので、5月から晴れて自己運用ができるようになった。資金を約10銘柄にほぼ同金額で分散し、もう1銘柄買えるかなという程の現金を残して、目一杯買った。何しろ、空前絶後の大相場を見ているのだから。

しかし、5月にフルポジションを取って、評価損から逃れることは難しい。いったん谷越えだと判断したところで買ってはいても、私も評価損を抱えている。とはいえ、先週末の時点で、評価損を30%ほど上回る実現益を確保している。もちろん、手数料、税金を差し引いている。きちっと、利食っているからだ。数えてみると、29回クローズしている。

確かに5月の高値は抜いていないが、相場の上げ下げは激しい。10銘柄も持っていれば、利食えるところまで上げるものが出てくる。その時、谷越え確認銘柄を簡単に見つけられたなら、利食いと同時に、その銘柄を買えるのだ。フルポジションを維持したままで、実現益を確保することができる。

その実現益の積み重ねが当初の投資金額を超えたなら、後は、評価損がどんなに大きくなっても、利益の範囲のブレに過ぎない。そして、本当に大相場が来るのなら、フルポジションの維持は大きな意味を持つことになる。

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