転機に立つ中国経済~異常投資の清算を迫られる~

中国の繁栄はピークを越えつつあり、今後、中国経済も政治も、極めて深刻な局面に入っていくだろう。2012年、世界銀行と中国の改革発展委員会が共同でまとめた「中国経済の展望」では、2030年に中国が米国を抜くと予測しているが、到底そのようなことは起こらない。むしろ、近い将来、中国が急速に失速し、中国共産党の独裁体制の維持が極めて困難な局面に入っていくのは、避けられないのではないか。

現在、中国経済は大減速しているが、その中で顕在化してきたのが、①過剰投資体質、②競争力の大きな低下、③地政学の壁―の3成長制約である。また、中国問題を解釈する上では、今の中国がどのような歴史段階にあり、中国共産党指導の経済開発とは何だったのかなど、歴史的な認識が必要となってくる。

第一章 転換期に立つ中国

中国は、2001年12月のWTO(世界貿易機関)加盟後の10年間、空前絶後の大躍進を続け、瞬く間に世界の工場となった。リーマンショック後には、世界中がデフレ危機に陥る中、中国は世界の機関車として4兆元の国内投資を実施、世界経済を大きく支えた。しかし、その中国が今、急減速局面に遭遇している。

2012年から2013年第2四半期にかけてのGDP(国内総生産)成長率は、8%を下回り、リーマンショック直後を除き、2000年代では最低水準まで落ち込んでいる。これを受けてモノの動きがほとんど止まり、この半年間の鉄道貨物や電力消費は頭打ち状態に陥り、前年比2、3割増のペースで伸びてきた貿易額(輸出入)も、ほぼ前年並み水準にまで落ち込んでしまった。あらゆる指標が、中国経済に急ブレーキがかかっていることを示している。

これに加えて、中国経済はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)面でも、大きな困難に遭遇している。その一つが、改革の遅れである。胡錦濤政権は和諧社会の旗印の下、都市と農村に代表される所得格差の解消を目指してきたが、それはほとんど進展していない。国有企業改革や民間企業支援策なども頓挫し、指導部や政府の腐敗が依然として後を絶たない。

★図表1-2

★図表3-4

このように様々な問題が山積している中でも深刻なのが、労働力配分のミスマッチである。中国の農村には、依然として膨大な余剰労働力が存在しているが、湾岸部では極めて深刻な農民工不足から賃金が急上昇している。そして、急速に増大した大学卒の4割が職に就けない就職難の状況でもある。一見繁栄している中国の内部で、資源の適正配分ミス、特に労働力配分が行われていないことが指摘できる。しかも、その対処策が依然として徹底的な官主導の景気対策であり、ますます人為が影響を与える姿になっている。当然、国民の不満も高まり、それが情報統制を超えインターネットによって多くの人々に共有され、社会不安が助長されている。

最大の問題は、中国の投資採算に大きな赤信号が灯りつつあることである。株価が急落を続け、企業収益の大幅悪化とともに、増加し続けてきた中国への資本流入に急ブレーキがかかってきた。直接投資がマイナスとなって、繁栄を支えてきた好循環が、完全に逆回転し始めてきた。このため、昨年政権移行を前にして、金融緩和、鉄鋼増設凍結解除、鉄道投資再加速など投資再開による景気対策が取られたが、すでに失速症状となっている。

さらに、中国には自然制約要因である人口減少が迫っている。国連による世界主要国の労働人口推移予測では、今後数十年、労働人口の増加が展望されているのは米国だけで、すでに減少に転じている日本や欧州に続き、中国も減少に転じてくる。

★図表5

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