ポスト・リーマンショック環境の終焉-2-

*関連:ポスト・リーマンショック環境の終焉-1-
http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-11563875869.html
 

・リスクオン、リスクオフ

自国の国債は(本来は株式も)資金運用の大きな柱だ。国債が年金や社会保障制度の維持に十分な利回りを提供できれば、運用者はそれほどリスクを取らずとも、成り立っていく。あるいは、国債の利回りが十分ではなくても、低下局面であれば、値上がり益を総合リターンに組み込むことで、それなりに成り立っていく。問題は利回りが低水準で長く留まり、これ以上低下する余地がなくなった時だ。

リーマンショック後の超低金利時代が始まってから2013年まで、世界の資金運用者たちは、年金運用に限らず、主要国の国債からの利回り不足を、リスクオンすることで補ってきた。ここで、リスクオン、リスクオフについて、最近の解釈が本来の意味とはかけ離れて使われてきたことを指摘しておきたい。

ジャンク債など、債務不履行リスクが高いものを買うことはリスクオンだ。これは昔も今も同じだ。それでも、利回りが高い時には、一回の利払いだけでも投資金の相当分を回収できることもあり、リスクに見合ったリターンが期待できる。私もここでユーロ周辺国の短期国債の購入を提案したことがある。一方、そういった債券を歴史的な高値にまで買い上げることは、文字通り、空前のリスクを取っていることになる。ジャンク債の平均利回り(指数)は2013年5月9日に過去最低水準の4.95%をつけたので、この傾向は少なくとも2013年5月まで続いたことになる。

また、信用リスクが高いとされる新興国への投資もリスクオンだ。国際債券市場に2013年前半になって初めてデビューしたいくつかの新興国は、総額で355億ドルの米ドル建て債券を、なかには2.72%という史上最低金利で発行した。この傾向も2013年5月まで続いた。

ベンチャーキャピタルなどへの投資もリスクオンだ。外れることがあることを織り込んで、当たりの大きさを追及する、ハイリスク・ハイリターンな投資だ。ベンチャーキャピタル・ファンドへの資金流入ベースでみると、これは2011年まで続いた。この辺りまでは、本来の意味と同じだ。

基本的に割安は低リスクで、割高は高リスクだ。割安というのは、高金利や高配当、好財務、好業績なのに価格が安く、投資資金に見合ったリターンが期待できるものだ。割高のものはその逆で、投資資金に見合ったリターンが期待できないのだから、高リスクだ。それでも買うのは、キャピタルゲインを期待しているからだ。

商品は高リスクとみなされているが、金など一部の貴金属への投資はリスクオフと呼ばれる。「安全な資金の避難場所」あるいは、「紙切れでない、実体のある通貨(代替)」としてだ。とはいえ、金保有では金利を受け取れないことや、金価格の大きなボラティリティを鑑みると、「安全性」や「実物通貨」という認識は、単なる思惑の域を出ないことに気付く。キャピタルゲイン狙いや思惑で売買することを投機的と呼ぶが、金の売買も、他の商品の売買と同様に高リスクなのだ。

金は2011年9月に最高値をつけた後下げ始め、2013年第2四半期には前期比約25%下落、34カ月ぶりの安値水準となった。四半期での下げ率は金が米ドルとの連動を離れた1971年のブレトンウッズ体制崩壊時以来の大きさとなった。金が米ドルとの連動を離れたことで、米ドルは兌換性を失い、信頼性が減少したかのように言われることがある。しかし、米ドルは当時も今も、アメリカ合衆国の通貨で、世界最大の経済、最大の資本市場、最強の軍隊を背景にした最も流動性の高い通貨だ。一方の金はそういった米ドルの後ろ盾を失った。メッキが剥げたのは、果たして米ドルだったのか、金の方だったのか。この4-6月期の下げ率が、その時以来の下げ率だったというのは、何かの象徴かもしれない。2012年後半からは金ファンドからの資金流出もみられるという。

リスクオンを言葉の意味通りに使うと、高リスクのものを買うことだ。この時、低リスクだった割安物件も、買われて割高になれば高リスクになる。主要国の国債への投資はリスクオフの代表的なものだが、それは最も値下りリスクが小さいところからきている。ところが、金利もつかずに100で償還されるものを、101や102で購入するマイナス利回りは、持ち切れば確実に値下がりする。こういったものをリスクオフだと言って買うことは、バブルの典型的な症状なのだ。

リスクオン、リスクオフという表現は、リスクの大小をかけ離れ、株式、原材料燃料商品、高金利通貨などを買うことがリスクオン、主要国債や金、低金利通貨の購入は押し並べてリスクオフとなっている。つまり、日米の国債や金、円などが買われるのはリスクオフで、売られるのはリスクオンだ。分かり易く単純化したのだろうが、本質を反映しなくなってしまった。

・通貨の過大供給が生むものは、通貨の相対的な値下り

サブプライム・ショックによる金融システム未曾有の危機に、米金融当局は迅速かつ徹底的に対応した。政策金利はサブプライム・ショックが起きた時点の2007年8月の5.25%から、2008年12月には0.25%にまで引き下げられた。同年9月にはリーマンブラザーズを破たんさせた。同年11月26日には量的緩和QE1が発表され、住宅ローン関連商品の買い上げに伴う大量の資金供給が始まった。

大型緩和による通貨の過大供給が生むものは、通貨の相対的な値下りだ。モノやサービスの値段は通貨で測るので、通貨の値下がりは、それらの値上がりを意味する。

消費者物価につながるものはあまり上がらなかったが、2009年3月から上げ始めたS&P500株指数が史上最高値を更新したように、資産価格は上昇した。金先物は2008年10月に押し目の安値をつけ、2011年9月に最高値をつけた。原油は2008年12月に当面の底をつけた。全米平均の新規一戸建て住宅は2009年第1四半期に底値つけ、その後は上げ続けている。すべては量的緩和の前後から始まった。
参照:Price Indexes ofNew Single‐FamilyHouses Sold Including Lot Value
http://www.census.gov/construction/cpi/pdf/price_sold.pdf

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