中国鉄道部解体

中国の鉄道

 中国の鉄道の整備・運営を担ってきた鉄道部が2013年3月に解体され、行政機能を担う国家鉄道局と運営機能を担う鉄道総公司に分割されました。

 中国の鉄道というと2011年7月に温州市でおきた衝突脱線事故が記憶に新しいと思われます。事故の大きさもさることながら、事故に遭った車両を現場に埋めるという日本の常識では考えにくい様子が報道されたことから、中国の鉄道運営が何か問題を抱えているのではないか、と感じた方も多かったのではないでしょうか。中国の鉄道に関しては、この温州での事故以前から前の鉄道部長であった劉志軍が職権濫用などを理由に解任されたことや、中国の車両製造会社が日系企業から導入した技術の特許申請を行ったことなどが話題になっていました。これら様々な問題を耳にすると日本からの目線ではどうしてもマイナスの印象を持ってしまいます。

 実は中国現地でも鉄道運営に対してはあまり良い印象を持たれてはいないようです。中国の鉄道は延長距離の拡張ペースが早く鉄道網の規模としては世界2位に達しており、速度も世界最速になったなどのハード面ではアピールすることが多いですが、サービス面はお世辞にも高いレベルとは言えません。切符の販売は販売員の人手で行われていますが、販売所に長蛇の列ができるのはほぼ常態化しています。サービス精神に欠ける販売員が多く、販売員の気分次第で切符を売ってもらえなかった人もいるという話は特に珍しい話ではないようです。また電車の運行についても頻繁に遅延が発生します。到着・出発時刻の変更が頻発し、変更の告知もあやふやなため、乗客は待合所で長時間過ごすことが当たり前となっています。

鉄道部解体

 このような問題の多い中国の鉄道を運営していたのが鉄道部です。鉄道部はもともと軍部の配下という位置付けで発足された経緯などから、鉄道行政と鉄道運営の両方を担当する組織として運営されており、独自の警察組織を有するなど中央政府からの独立性も高い特殊な位置付けの組織でした。外部からの監視が効きにくい体制だったところに、高速鉄道の建設が増加したことにより巨大な利権構造が構築されたことが各種の問題を引き起こした要因の一つと考えられます。鉄道部が解体されて行政機能は国家鉄道局が行い、鉄道の運営は中国鉄道総公司という国営企業が行うという体制になります。行政と運営が別組織になるので、統治体制としては以前より改善することが望めます。

 鉄道部の解体によって注目が集まり始めたのは、債務の問題です。鉄道部の債務総額は約40兆円(2.6兆元、1元15円換算)、負債比率は60%です。解体再建にあたっては日本の国鉄民営化が参考にされているとのことです。国鉄が分割・民営化されたときの債務は37.1兆円でした。物価水準の違いなどもあるので実際の負担感は違いますが、偶然にも金額はほぼ同水準です。 日本の国鉄債務37.1兆円の処理については国鉄清算事業団が25.5兆円、新幹線保有機構が5.7兆円、JR各社が5.9兆円を引き継ぎました。その後、国鉄清算事業団が引き継いだ債務は微増となり現在も残ったままですが、JR各社は着実に債務を返済してきています。またJRは鉄道運行の質向上や駅を中心とした商業施設開発で利便性を高めるなどサービスレベルも向上させてきました。日本でも国鉄債務の完全解消にはまだ長い期間を要しますが、JRに関しては海外に鉄道コンサルティング事業を展開する体制を構築するまでに経営が進化してきており、民営化によるプラス効果が確認できています。

 中国の鉄道運営についても、解体・分割を契機に負債の削減をしながらサービスレベルの向上を成し遂げ災害や遅延の少ない鉄道網が構築されることを期待しております。

(チャナリスト)

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