超金融緩和の時代~「最強のアメリカ」復活と経済悲観主義の終わり~

6月1日『超金融緩和の時代「最強のアメリカ」復活と経済悲観主義の終わり』(日本実業出版社)という著作を刊行します。以下に『はじめに』と『おわりに』を掲載し、趣旨を紹介いたします。

はじめに

リーマンマンショックから4年が経過し、リーマンショックとは何であったのか、を検証する事実が揃ってきた。そして、事実をつなぎ合わせると、過去4年間を支配した経済常識が、根底から間違っていたことに気づかされる。

人々は、2007年から2009年へと続いた世界金融危機(サブプライムローン危機からリーマンショックに至る過程)、つまり「株価と債券価格が1年半にわたって1930年代の大恐慌に匹敵する大暴落を続けた事態」とは、経済体制の破たんであり、暗い将来の入口と考えていたに違いない。特に日本人にその確信が強かった。

1990年のバブル崩壊以降の日本経済の低迷、落伍を経験した立場から見れば、リーマンショックによって米国も同じ軌道に入ったとの連想が働いたのは当然である。日本のアカデミズムとジャーナリズム、経済論壇は、つい昨日まで、悲観論と宿命論によって席巻され、国民は諦観論を植え付けられてきた。その要諦は、「バブル崩壊と金融危機は過去の間違った繁栄、投機、経済行動の当然の報いである」であり、「これからはそのつけを払う暗い将来がやってくる」ために、「経済政策で悪あがきをしても無駄であり、暗い現実を受け入れるべきである」という議論である。どのような高尚な議論も、全て平たく言ってしまうとこのようなものであった。

しかし、現実はそうはならなかった。悲観主義にもとづく「宿命論」「諦観論」は米国経済の着実な回復、「最強のアメリカ」が復活することによって、根底から否定されつつある。米国経済は、1990年以降の日本のようなデフレや経済成長麻痺には陥らずに、本格成長軌道に復帰し、株価は史上最高値の更新を始めている。

なぜ米国は日本の「失われた20年」という長期停滞の道を回避できたのであろうか。その最大の理由は政策が適切であったということである。バーナンキFRB議長に率いられる米国の量的金融緩和政策(QE)は、崩壊の危機の淵にあった金融市場を立て直し、瀕死の状態にあったリスクテイク心、アニマルスピリットを復元させ、経済を正常な軌道に引き戻した。

この量的金融緩和の特徴は、バランスシートを一気に3倍に膨らませ、暴落状態にあった証券価格を押し上げた事にある。中央銀行が市場において中立的立場を捨て、断固たる買い手として登場し、暴落した資産価格を買い上げることを通じて、信用秩序を回復させた。その結果、大恐慌以上に上昇したリスクプレミアムは元に戻り、一年半で6割と大恐慌並みの暴落をした株価はその後2年間で2倍とショック前の水準に戻ったのである。

輪転機の高速回転による紙幣増刷で証券価格を押し上げるというのは、究極の錬金術ではないかとの批判が渦巻いていた。しかしそれが無ければ経済は大恐慌に転落していたことは、確実である。したがって、中央銀行のこれまでの範疇を越えた禁じ手は、米国経済を回復軌道に乗せるうえで、絶対に必要なことであった。

とは言え、闇雲な超金融緩和が全てうまくいくわけではない。「そんなうまい話があるはずはない」という素朴な疑問は説得力がある。「超金融緩和で人々の期待が変わればすべてうまくいく」ということは、「麻薬を飲んで極楽の幻想に浸るようなもの」であり、「厳しい現実が変わるわけはない」という素朴な批判に耐えられないもの・・・ なのだろうか。

超金融緩和による市場介入も、実態が伴わなかったら、その介入は失敗したはずである。中央銀行が債券市場に介入し、リスクプレミアムを一時的に押し下げたとしても、不況が深刻化し倒産が相次いだら、リスクプレミアムは急上昇し債券は紙くずとなり、中央銀行は不良債権を抱えることになる。

結局、バーナンキFRB議長のオペレーションが成功したのは、実態以上にマーケットが狂っていたからである。社債市場では空前の大倒産を、株式市場では利益の消滅を織り込んでいた。しかし経済の実態はまったく腐っていなかったので、バーナンキFRB議長の英断は成功したのである。成功は、「実はマーケットが考えているほど実体経済は悪くない」ということに対する、バーナンキFRB議長の深い洞察があったからだと言える。

それではなぜ経済は腐っていないのに、ハブルが発生し、それが崩壊して大暴落し、世界的金融危機が起きたのだろうか。通説と異なり、リーマンショックの原因は重層的である。直接的な原因は市場の崩壊・ミススプライシングの発生であったが、それの更なる原因は住宅バブルの生成とそれを支えたモラルのない金融であった。しかしそのさらに底流にはより重要な根本原因、すなわち「2000年ITバブル崩壊以降のヒト余り(失業の増加)、金余り(空前の金利低下)」があった。本編で詳述するが、ITバブル崩壊は大規模な労働と資本の余剰を発生させたが、それは2007年までは、住宅バブルに吸収され、更に経済を成長させた。しかし、住宅バブル崩壊で住宅部門に一時的に吸収されていた余剰労働力、余剰資本が再度顕在化した、と言う事実がある。つまりリーマンショックの根源には、資本と労働の余りにあったのである。

それらのヒトあまり、金余りをもたらしたものは、IT革命とグローバリゼーションによる「空前の生産性の上昇」である。それまでよりも短時間で、より多くのものをつくりだせるようになったのだから、それだけ省力化でき、製造コストも下がる。つまり、企業利益が増大する一方で「人手と資金が余る」ことになる。

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