第9回 パッシブ運用について

前回の記事はこちら→戦略型株価指数(→http://money.minkabu.jp/38208)

 これまで株価指数の種類や利用方法などについて説明を加えてきたが、実は最も根本的な株価指数の利用方法については触れてこなかった。それはパッシブ運用と言われるもので、多くの方には既に馴染みのあるものだろう。敢えてそのことについて説明をするまでもないと思ったので説明していないし、またパッシブ運用は、ある意味で「つまらない投資」であることも事実である(本当はそうではないのだが)。「積極的には何もしない」というのがその本質なので、投資に知的・感情的刺激を求める投資家には物足りないだろう、と思う。「パッシブ運用なんてもう充分わかっているよ。低コスト、長期運用だよね。」という投資家にとって、改めて株価指数→パッシブ運用という流れで話を進めても「刺さらない」だろうと思ったのである。
 敢えてパッシブ運用以外での指数利用方法を中心に説明したのだが、これまでの説明で分かる通り、様々なタイプのETFを活用すれば、指数を使っても充分にエキサイティングな投資を行うことができるのである。最小分散指数のようにアクティブ性を持った指数は指数自体が進化していると言えるし、レバレッジやインバースETFなど金融商品が進化したものもある。このようなイノベーションを組み合わせれば、かなり本格的な資産運用計画を個人投資家でも実行することが可能である。
 そこで、投資の本質である長期的パッシブ運用と、ETFや新指数を使ってダイナミックに運用することを組み合わせることを総称して「インデックス投資」と呼ぶことにする。従来のパッシブ運用という言葉では明らかにそのダイナミックさは表せず、また単にETFを売り買いする短期売買とも異なることを目指すものである。

(1)パッシブ運用
 ではまず、本来このコラムに真っ先に出てくるはずだったパッシブ運用についておさらいをしておこう。
 株式投資の歴史は、まずアクティブ運用ありき、である。古くはグレアム・ドットの証券分析に始まる「割安銘柄を探す旅」が本来の株式投資家の姿だ。ダウ工業平均はわずか30銘柄で構成されている世界最古の(現存する)株価指数であるが、わずか30銘柄で米国株式市場全体を代表できていた牧歌的な時代は、アクティブ運用(というか個別銘柄選択)の時代だった。これが変わったのは、ポートフォリオ運用という概念が登場してからである。一つの投資信託を買うだけで分散投資を実現できるという投資スタイルが普及し始めたわけだが、それもアクティブ運用の投資信託だけが存在していた。つまり、元々株式投資は銘柄を選ぶことにその真髄があり、そのために様々な証券分析理論が構築されてきた。そんな中で、アンチ・テーゼとして提案されたのがパッシブ運用である。
 端的に言うと、「単純に市場ベンチマーク通りに運用する方が、せっせと銘柄を分析して売買を繰り返すよりも、リターンが良いはずだ」という考え方である。
 このコンセプトは運用報酬の話を抜きにしては成立しない。そもそもアクティブ運用は大きく分けて3つのチームによっが支えられている。まず、証券分析をするアナリスト部隊。次に、相場の流れを読んでタイミング良く銘柄を売り買いするファンド・マネージャー。そして、ファンドそのものを宣伝するマーケティング部隊。(もちろん他にもいろいろあるが、ここでは敢えて分かりやすい3つだけにする。)この三位一体となったチームがアクティブ運用ファンドの成立に必要不可欠である。
 ざっと考えて何人ぐらいのスタッフになるだろうか。恐らく少なくとも20人ぐらいは必要だろうし、その管理職も含めるともっと多いかもしれない。彼らの人件費を合計すると、相当な金額であろう。それはファンドのコストである。そのコストを賄うのが投資家であることは自明である。さらに、ファンドを運用している会社が都会の一等地にオフィスを構えて、それら20人以上のスタッフすべてがそこに常駐しているとすると、一つの投信の運営に固定費として相当なコストがかかっていることが分かるだろう。
 運用会社はファンドを運営するのが商売の営利企業なので、このコストを上回る収入がなければ事業継続できない。その収入はほぼすべてファンド購入者が賄う。これが運用報酬と言われるものである。昨今は、投信を販売する販売会社(銀行や証券会社など)に対し、運用報酬の半分ほどが運用会社から支払われているそうである。せっかくの飯のタネである運用報酬が半分持って行かれるとなると、運用会社の経営には大きなダメージである。かと言って、ファンドの運営に必要なスタッフを削減することはできないし、販売会社の力なくしてはファンドを売ってもらえない。そこで、合理的な解決策として、運用会社は運用報酬を高く設定することになる。運用報酬の高いファンドが売れれば、販売会社が儲かり、運用会社も儲かるのである。その儲けをすべて負担しているのが投資家である。ついでに言うと、運用報酬以外に投資家は、投信購入時に販売手数料も別途支払うのが一般的である。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> ETF/REIT> 第9回 パッシブ運用について