[サラワク訪問記]日本に直結した経済発展と環境問題

 マレーシア連邦のサラワク州は可能性の大きい地域だ。天然資源が豊富で開発は始まったばかりであるが、すでに所得水準はクアラルンプールに次ぐ高所得である(1万US㌦)。しかし、“資源輸出立国”であるため、環境問題が出てくる危険は大きい。1人当たりGDPはやがて2万㌦を超え3万㌦も視野に入り、東南アジアでは傑出した国・地域となろう。Human capital型のシンガポールと資源依存型のサラワク州の違いが注目される。
 熱帯雨林の輸出国であり、日本はその最大の輸入国であるが、多くの日本人にはまだ未知の国である。今回のサラワク行は、経団連自然保護協議会の視察ミッションに参加したものである。

1、自治・民度・多民族・熱帯雨林の「未知の国」

 南洋材の供給基地であるので、「オラウータンの村」と思っていたら、州都クチンは人口60万余の大都会であった。1人当たりGDPも1万㌦を超え、民度の高さも感じる街であった。赤道近くに位置する熱帯の島で、このような都市が形成された背景は何か。

 東マレーシアのサラワク州は、ボルネオ島の北西部にあり、クアラルンプール経由で入った(注、ボルネオ島の南半分はインドネシア領で、カリマンタン島と呼ばれる)。クアラルンプール国際空港で入国審査を受けたのであるが、サラワク州のクチン空港で再び入国審査を受けた。同じマレーシア国内でありながら、再びイミッグレーションが必要なのである。マレー半島のマレーシア人がサラワクに行くにもパスポートが必要。サラワクはマレーシア連邦の13州のひとつであるが、財政や出入国管理などで“高度な自治権”を持っているのだ(サバ州も然り)。これには歴史的な背景がある。

 サラワク州は1963年にマレーシア連邦に加盟するまでは英国の直轄植民地であり、それ以前は1942~45年は日本の統治、1841~1941年は英国人ブルック家が支配する「白人王国」であった(200年余前はブルネイのスルタンの治世)。1961年にマラヤ連邦のラーマン首相はイギリス植民地として残った地域を統合する大マレーシア構想を発表するが、中国系住民の多いシンガポールだけの合併ではマレーシアの人口の半分以上が中国系になってしまうので、ボルネオ島の英領は是非合併したかった。ボルネオ島の豊富な資源も目当てだった。
そこで、加盟協議の際、サバ・サラワク州は特権の容認を条件に加盟し、高度な自治権が与えられたのである(ブルネイは石油の利権をめぐって統合を拒否)。

 サラワク州の経済発展の最大要因は、森林についての特権だと言われる。サラワク州の森から出る原木の輸出、完成品の輸出は100%サラワク州政府のみで使える収入になる。サラワク州の急激な発展は1970年代に始まるが、この頃から原木の日本への輸出が増え始めたのが理由の一つといわれる。ちなみに、GDPは1970~75年を基準に、75~80年1.5倍、80~85年2倍、90~95年4倍、95~2000年3倍、その後、年平均4~6%成長が続いている。

◇1人当たりGDP10,000㌦の高所得
 サラワク州は、面積124千km2(日本の北海道+九州)、人口247万人である。人口は国全体の8.7%であるが、面積は国土の38%を占め、マレーシア連邦を構成する13州の中で最大の面積を有する。
 
 1人当たりGDPは10,344US㌦(2010年33,307RM)、首都クアラルンプールに次ぎ、ペナンと並び第2位の高所得地域である。ちなみに、東南アジアではタイ5500㌦、インドネシア3500㌦、フィリピン2200㌦、ベトナム1400㌦、ミャンマー820㌦であり、ASEAN諸国で1万ドルを超えるのはシンガポール49,000㌦だけである(IMF,WEO)。

 州都クチン(人口62万人)を歩くと、“民度”の高さを感じる。独立以前の「白人王国」以来の蓄積であろうか、サラワク川の南岸に整備された歩行者用のプロムナードは先進国の風情を感じる。市街地の風景も情緒がある。英語で教育を受けたキリスト教徒が多い。

 民族構成は多様で、27民族に分かれ、主なものはイバン族(人口の30%で最大)、華人(25%)、マレー(24%)、ビグヤ(8%)、オランウル(「内陸の人」の意味で、16少数民族の総称)などがある。州都クチンはサラワク川を挟んで南北に分かれ、北部はマレー系とブミ系、南部は中国系が多い。もちろん、経済は南部が発達している。

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