「アベノミクスの成長戦略と社会保障」

 アベノミクスの成長戦略は何か。その領域については、民主党の時からはっきりしていた。問題は実行力である。10の分野をあげれば、①環境・エネルギー(グリーン・イノベーション)、②健康・医療・介護(ライフ・イノベーション)、③アジア経済成長の取り込み(アジア・イノベーション)、④観光・地域活性化(ツーリズム・イノベーション)、⑤科学・技術・情報通信(ST・ITイノベーション)、⑥雇用・人材教育(ワーキング・ヒューマンキャピタル・イノベーション)、⑦金融・投資(フィナンシャル・インベストメント・イノベーション)、⑧中小企業戦略(SMEイノベーション)、⑨食農再生戦略(フード・アグリ・イノベーション)、⑩国土・地域活力戦略(アーバン・ルーラル・イノベーション)である。

 それ以外でもかまわないが、できるだけフィールドを大きくとらえて、その領域で何らかのイノベーション(仕組み革新)を起こそうとしているかを問いたい。 民間からのアイディアはいろいろ出ているので、それを支援するようなポリシーを実行すればよい。そもそも実際にビジネスとして実行するのは企業である。国がファンドを作って、投資をしても上手くいくとは思えないが、ファンドにお金を出すことによって、民間の資金を集めやすくなる。リーダーシップをとるのは民間企業である。そうでなければ、実行力が伴わないであろう。

 では、デフレ脱却はできるのか。ファーストリテイリングの柳井社長は、「難しい、出来ない、と言うな」という。国の政策においても、企業のマネジメントにおいても、何としてもやり切るという覚悟と実践が必要である。デフレに陥らないように手を打った国はいくつもある。今まさに日本もデフレ脱却をやろうとしている。

 今後景気は明らかによくなろう。財政政策として、景気刺激に20兆円のお金を使うのだから、ここから2年はプラスに働く。円安が95円で安定すれば、企業業績は大幅に良くなる。日本のGDPに占める製造業の割合は20%であるが、株式市場では40%を占める。日本がものづくりにこだわる理由はここにもある。

 景気がよくなることによって、消費税増税は2014年4月から実現しよう。日本の財政再建がわずかだが前進する。GDPの2倍、1000兆円の債務を抱えながらも、信用を保っているのは、個人金融資産が1500兆円あり、税で回収する道があるからである。しかし、消費税が10%になっても、財政の健全化に不十分であることは誰でも知っている。

 では、年金、医療など社会保障は十分賄えるのだろうか。それは無理である。そもそも60歳定年というのは、19歳で仕事について、42年働くというモデルである。人生の60%を働くという説を堺屋太一氏(作家で経済企画庁長官を歴任)が言っている。つまり、42年働くというのは、寿命が70歳の時のモデルである。

 60歳まで働いて、70歳で寿命を迎えるとすれば、年金を必要とする老後は10年となる。しかし、90歳まで寿命が延びるとすると、大学を出て23歳で仕事に就くとして、90歳 ×60% =54年である。23歳 + 54年 = 77歳まで働く必要がある。つまり、日本では後期高齢者を75歳からと定めているが、その75歳まで働く必要があるということだ。

 75歳を過ぎると病気になる人がぐっと増えてくる。医療費も金額が重くなってくる。ということは、国民は元気で健康なうちは全員働こうということである。そうでなければ、社会保障の制度など維持できるはずがない。

 不思議なことがある。私が周りの人々に聞いて見ると、老後は子どもに頼らないという。では誰に頼るのか、国に頼るという。それは、他人の子供に頼るということを意味する。自分は税金を納めてきたので、その税金を前提にしている。しかし、無理である。長生きすれば、払った税金より貰う方が圧倒的に多くなる。私の世代は1年で200万人いる。子どもの世代は1年で100万人である。100万人で200万人の社会保障費を負担しろといっても無理である。

 今の65歳以上の人は、自分にとって有利な仕組みの上にいる。これを改革するのは容易ではないが、早晩年金を減らし、何らかの社会活動をしてもらう必要性は高まってこよう。それを大変だと思うのではなく、工夫をすればおもしろいことができるチャンスと捉えたい。

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