円安と業績

さらなる円安が株式市場には必要か?

 昨年末からの株式市場の急上昇により、日本株への注目が集まってまいりました。為替も対米ドルで75円前後から94円前後まで円が大幅に下落し、為替がさらに円安に進むかどうかで株式市場も上下しているような状況です。
 昨年末と異なり、日本の円安に対する批判も少しづつ表明されるようになってまいりました。自国の企業に対してのメッセージという観点も強く、ドイツ、韓国といった日本の自動車メーカーと競合する国の首脳からまず懸念が表明されました。しかし、今までユーロ安、ウォン安を享受してきた国から批判されてもあまりインパクトはなかったようで為替市場は反応しませんでした。
 今月に入り、G7,G20という首脳会談の中で、為替市場操作を目的にした政策に対する懸念が表明されました。変動相場制の中で、金融政策は自由で為替市場を操作するのはいけないというのも無理な話であり、実体のあるアナウンスとは言えず、円安修正の動きは現れませんでした。ただ、さらなる円安を牽制する動きが若干出てきたことは確かであり、やや100円以上の円安を期待する投資家には不安感が出てもおかしくない環境になってきたと言えるでしょう。
 それでは、株式市場のさらなる上昇のためには、100円以上の円安が必要なのでしょうか。株式市場を長期的に動かすものは、究極的には企業業績であり、この質問は、100円に達しなくても果たして企業業績が本当にさらに改善するのでしょうか?という質問になると思います。

 この図は、リーマンショック前からの日本企業の経常利益の合計と日経平均株価との比較です。PERとか、バリュエーションなどの要因もありますが、まずは、どのくらい業績が伸びるのか、という点に絞って考えてみましょう。

 すでに来期の企業業績の一般的な予想では、震災前の2010年の業績を上回ることは確実です。したがって、11,000円を超えてきた日経平均株価は、超えるべきして超えたと言っていいと思います。
 それでは、リーマンショック前の水準、日経平均が18,000円くらいの水準だった頃の、45兆円という利益水準を稼ぐことができるのでしょうか。このためには、100円とか、110円とかといった為替が必要となるのでしょうか。
 我々の業績予想では、その答えはノーです。残念ながらこの水準にいくのは難しいと言わざるを得ません。当時は電力会社が6,000億円以上稼いでいたこと、そして電機、半導体業界が5.6兆円程稼いでいたのですが、これらの業態が元に戻るのは難しく、たとえ100円以上になったとしても45兆円達成は厳しいと思います。
 しかし、悲観してはいけません。為替が90円レベルで通年安定したとすると、その効果で、40兆円程度までは業績拡大は可能と考えています。しかし私たちの予想では、それ以上の上乗せは円安が進んでも難しいと考えます。では、何があればこの45兆円程度まで行けるでしょうか。
 それは、アベノミクスのもう1つの大きなポイント、デフレ脱却による効果だと思います。日本企業は過去10年近くデフレによる収益圧迫を受けてきました。またその副作用として賃金の圧縮、雇用削減による消費の低下を招いています。この効果による日本企業のマイナス効果は計測するのは難しいですが、利益率に影響していると考えています。
 何よりも、デフレでは、使うより貯めておき、将来使う方が価値が高まると考えることから、企業も個人もお金を使おうとしません。従って、人々がデフレが止まり、将来の価格が上がると期待しただけで、滞留していたお金が動き始め、経済が活力を取り戻し、賃金上昇、消費拡大へとつながると思います。

 要するに、円安がこれ以上進むかよりも、日本の人々の期待デフレが止まりインフレ期待を持つようになるかどうかが大きなポイントだと思います。そして、インフレ期待が定着すれば、国内企業の収益性が改善し、輸出企業の業績に頼らなくても42兆円くらいまでは達成できると予想しています。この水準までいけば、将来の業績成長の期待も加わり、日経平均は18,000円はともかく、15,000円程度までは達成可能と考えています。
 各国の批判が高まる懸念がある100円以上の円ドルレートを期待するよりも、各国が批判できない国内のデフレの終焉とインフレ期待をいかに形成するかが、今後の重要なテーマとなると思います。
 もちろん、個別企業ではメリット、デメリットがありますが、緩やかなインフレでの賃金上昇の期待が高まる中でここ20年の価値観が大きく変わる可能性があり、その動きにどのように反応するかが、企業の戦略に重要になってくると思います。そして、成功した企業が収益改善し、成長が実現できれば、牽引役が変わっても45兆円の利益を突破する日も遠くないと考えております。

このページのコンテンツは、スパークス・アセット・マネジメント㈱の協力により、転載いたしております。
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