[ラオス訪問記]資源輸出立国の経済と環境の両立は可能か

 小国ラオスにも、中国、韓国の経済進出が激しく、都市部は近代化の波にもまれている。政府は2020年までに最貧国脱却を目指すが、資源輸出立国のラオスは経済開発と環境の両立に苦しんでいる。鉱物、電力、木材の輸出、近年のゴム植林が森林の急激な減少をもたらし、森林率はかっての70%から、現在は40%を切った。資源輸出モノカルチャー経済からの脱却には、教育支援が必要と思われる。
 今回のラオス行は、経団連自然保護協議会の視察ミッションに参加したものである。

1、相互依存関係の変化‐ベトナムから中国へ‐

 ラオスはインドシナ半島にある人口650万の小国である(国土面積は日本の本州と同じ)。ベトナム、タイをはじめ5か国に囲まれ、海がない。メコン川がタイとの国境を画している。国土の7割は山岳地帯であり「森の国」とも呼ばれている。ラオス人民革命党による一党支配の社会主義国であるが、1986年以降は「経済新思考」(チンタナカーンマイ)政策の下、市場原理の導入、西側諸国に対しても門戸開放している。ただし、山間地で自給自足型生活を営む少数民族が多いため、市場経済の浸透する範囲は狭い。
 チャイナプラスワンとしてベトナム、カンボジアの次を狙っていたが、ミャンマーの民主化・改革開放で先を越された感がある。経済発展が相次ぐアジアであるが、ラオスは貧困からの脱却は可能であろうか。世界の変化が、この国にどう投影されているか。筆者は、変わるラオス変わらないラオスに興味がある。

 長年、ラオスは二股外交だった。社会主義政権であるため、政治的には同じく社会主義国である東側の隣国ベトナムとの関係が強い(インドシナ戦争を共に戦った「blood brother」から来る特別な関係)。しかし、経済的にはメコン川を挟んだ西側の隣国タイとの繋がりが大きい。東北タイとラオスは言語も文化も同じであり(言葉が通じる)、一つの生活圏をなしてきた。経済的には、バーツ経済圏と言ってよい。

 政府は親ベトナム、民間はタイと仲良しという構図である。こうした永年の国際関係については別稿に譲る(拙著『走るアジア遅れる日本』日本評論社2001年、第9章「ラオス 電力立国を超えられるか」参照)。

 しかし、近年、ラオスを巡る国際関係は大きく変容している。図1及び表1は、貿易面で見た相互依存関係の変化を示したものである。貿易は圧倒的にタイ依存が大きいが(輸出入合計のシェアは52%)、近年は中国との相互依存が急進展している。対中貿易の割合は2000年4%、2005年7%、2011年16%と推移。特に輸出面で中国依存度が上昇している。

図1 ラオスの国別輸出

表1 ラオスの輸出入貿易

 一方、ベトナムとの貿易は、相対的に停滞感が否めない。2000年代初期、ベトナム向け輸出はタイ向けより大きかったが、最近はタイ向けの半分以下であり、中国向けよりも少ない。輸入面ではこの傾向は一層顕著である。タイ依存度の上昇、そして中国がベトナムにとって代わりつつある。

 中国は特に北部の山岳地域では強い影響力を持っているようだ。道路等のインフラ整備協力、ホテルの支払いは人民元で済む。中国人仲買人が活発に動いている。また、ゴムの植林、トウモロコシやキャッサバ栽培(中国向け)にも乗り出している。ラオス北部の景観は大きく変化したようだ。(注、いまのところ、南部への経済進出はベトナムの方が顕著。サワナケート市の商店経営は7~8割はベトナム人)。

 こうした経済関係を受けて、政治面でも変化が生じてきた。ラオス人民革命党は誕生以来、ベトナム共産党の支援を受け、政府高官は政治研修のためベトナムへ行ったが、近年は政治教育も中国との交流があり、親中国の政府高官も出てきたようである。中国に対しては警戒感もあるようであるが、国力の差から、抗えないのであろう。ラオスは長年、タイとベトナムの間で二股外交を行ってきたが、いまは三股外交であり、微妙な国際関係の下、バランス感覚を発揮している。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 外為・海外市場・先物> [ラオス訪問記]資源輸出立国の経済と環境の両立は可能か