2013年大胆すぎる経済予測――極端なリラックスムードが市場に蔓延

サクソバンクによる年末恒例の「大胆予測」は、今回もまた概してネガティブな出来事を列挙することになりました。しかも、そのいずれもが金融市場の環境を一変させる可能性を秘めています。さらに、その一部は政治の現状まで変えてしまうことが予想されます。

新年の見通しを行う際には金融市場の激変を想定したくなる誘惑に常にかられがちですが、10年以上前から「大胆予測」シリーズ発表してきたサクソバンク予測チームは、読者にとって真に価値のある情報の提供を重視しています。具体的には、常識では想定し難く、予測すること自体が「大胆」だと思われそうな重大な出来事とリスクを見通すことです。しかし、実際にはそれらの出来事やリスクがそうした予測をはるかに超える可能性は高く、2013年の投資収益に重要な(ほとんどは非常にネガティブな)結果をもたらすかもしれません。

2013年を迎えるにあたって、サクソバンク予測チームが抱く最大の懸念は、マクロ政策の現実逃避的な先送りが引き起こすリスクと、政治体制と金融市場の安定を脅かす急速に悪化しつつある社会的緊張の双方に対する奇妙としか形容のしようがない「極端な気休め」の継続です。予測チームは「2012年第4四半期世界経済予測」で、「経済情勢があまりにも厳しく、低迷しているために、これからは好転のみしかほぼありえないように思われます」と述べましたが、その見方が歴史的に正しいことは証明済みです。事実、歴史上の真の変化は、いずれの場合も戦争の危急という事態の結果として生じてきました。

皆様に「不吉な予言者」、悲観論者というレッテルを張られる前に、予測チームは経済的には私たちはすでに戦時中のような金融環境に置かれていることを強調しなければなりません。西欧諸国が負う債務と財政赤字の規模は第二次世界大戦後に経験したことがない水準に達しています。

現在の闘いは、塹壕の中ではなく、社会全体で進行中です。各国によるマクロ政策の現実逃避的な先送りの継続は、人口の高齢化が進む中で高齢者を支える国民の多く、とりわけ若い世代から、公民権をはく奪し続けること意味します。若い世代がそうした負担に我慢の限界を感じる事態になったとしても、社会が若い世代を非難することはないでしょう。

言い換えれば、現在の国家は、軍事的な戦争ではなく、不当な扱いを受ける若い世代と、自分たちには国富のすべての恩恵を得る権利とその既得権を守るためならあらゆることをする自由があると主張する頑固な高齢世代の間の闘いに直面しています。ある意味で、現状は1960年代に起きた現象=若者たちの反乱=の繰り返しとも言えます。ただし、政治・経済の両面での対立の根深さという点では異なります。最もよく使われている表現を借りると、現在の事態は「1%(富裕層)対99%」の対立です。「ウォール街を占拠せよ」運動は、アミューズブーシュ(フランス料理で前菜に先だって出される突き出し)や遠距離早期警戒装置からの警告音と同じで、大きな現象のほんの「序の口」に過ぎませんでした。社会が今のやり方を見直さずにいれば、前菜とメインコース、つまり深刻な事態にすぐに発展していくことになるでしょう。

以上の点から、予測チームは、2013年のヨーロッパ社会では急進主義への傾斜が加速すると予想しています。ヨーロッパでは極右と極左のいずれもが、彼らの主張に賛同しても失うものがない社会的弱者の支持を得て、勢力を伸ばしています。現在、ヨーロッパの主流派政党の政治家はイデオロギーの点では国民の支持を得るには至っておらず、「代表民主制」の「代表」の意味を全く理解していないようです。

マクロ経済には、景気を上向かせる余裕は残っていません。市場が適正な価格発見機能を失っていることから、現在のマクロ政策はまるで糸を押すように効果を発揮できない状態に陥ったままです。そのために、今は誰もが「明日が良い日でありますように」とただ祈り続けるしかない状態に置かれています。市場では全員が中央銀行ウォッチャーと化し、まるで麻薬中毒患者の群れのように、次の金融緩和策をひたすら待ちわびているのが現実です。現状は、事実上の市場全体主義がはびこる形式的資本主義と呼ぶしかありません。自由な市場が復活することを祈りましょう。

今回取り上げた10項目の予測の中には、特に「大胆」に見えないものがあるかもしれませんが、市場が適正な価格発見機能を失っているためにすべてのアセットクラスでボラティリティ(価格変動率)が極端に低下している事実を思い出してください。そのような状況下で2つの標準偏差から乖離する動きがあれば、ほぼどのケースでも現在の常識を超えるもの、つまり「大胆」な動きと言えます。そのような場合、それは市場全体主義の後退を示唆する動きと言えます。

なお、ここで、2013年「大胆予測」はサクソバンクの公式見解ではないことをお断りしておきます。そのうえで、10項目の予測はそのどれか1つでも2013年に入って現実になれば、市場に大きなインパクトを及ぼすという意味で、投資家の皆様にご一読をお奨めします。資産運用にあたっては、誰もが最悪のシナリオを把握しておく必要があります。元本保全は必須であり、パーフェクトストーム(最悪の暴風雨)はもとよりどのような嵐が襲ってきても資産を守り通さねばなりません。

S&P500総合指数が2013年には10%上昇するというのが、2012年末時点での市場のコンセンサス予想です、2013年の株価値下がりを予想するアナリストは皆無です。2000年以降では、ここまで気休めが蔓延した状況を思い出せません。2000年と言えば、私の知人の誰もがデイトレードで富をなそうとして、それまでの仕事を一斉に辞めてしまった年でした。歴史は、人間が教訓を深く胸に刻むことは滅多にないことも教えてくれています。

2013年が、皆様にとって良い年でありますように。


チーフ・エコノミスト   ステーィン・ヤコブセン
    (STEEN JAKOBSEN)

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