ミャンマー 人口ボーナス再論(その2)

 ミャンマーは労働力資源が豊富で、人口ボーナス期は2005年~2050年の長きに亘る。スキルのある人材を育成し、直接投資の導入に成功すれば、人口ボーナスが経済成長にプラスに働くであろう。人材育成や対外開放の政策制度の整備が重要だ。
 アジア随一の出生率低下の背景は何か。人口ボーナスの消滅は成長の終焉を意味するであろうか。本稿は、先の拙稿「ミャンマー 労働力資源を考える」の「人口ボーナス」に係る部分の拡張である(当Webサイト、2012年12月6日掲載参照)。

1、多産多死から少産少死社会への移行局面

◇アジア諸国の出生率の低下
 前稿(当Webサイト12月18日付)で、アジアの経済発展と人口ボーナスの関係について論じた。人口ボーナスは生産年齢人口の割合が増える局面で現われる。“出生率”が急速に低下する時期であるが、アジア諸国はこの人口ボーナスを導く出生率の低下が顕著である。アジアは今、一斉に人口ボーナス期に入っている。中でも、ミャンマーの出生率の低下は著しい。人口ボーナス論は“低出生率”に着目する理論であるから、まず、この点を確認しておく。

 出生率の低下は世界のトレンドである。表1は、1母親当たりの子供数を示す合計特殊出生率の推移である。最貧困地域のサブサハラを除けば、発展途上国でも、1970年代から出生率は低下傾向にある。サブサハラも、1980年代には低下傾向に入った。しかし、その中でも、アジア諸国の出生率の低下は注目に値する。中国は「一人っ子」政策の影響であるが、それ以外の国でも、出生率の低下は顕著だ。東南アジアの合計特殊出生率は2030年代には先進国をも下回る低水準になる。世界の中で傑出した動きだ。

表1 合計特殊出生率

 人口が再生産されるはずの合計特殊出生率は2.1であるが(人口置き換え水準の出生率)、東南アジアは2020~25年にその時期を迎え、やがて人口減少局面に入っていく。(注、合計特殊出生率が2.1を下回った時期は、日本1975~80年、中国は1995~2000年)。

◇ミャンマーの出生率の急速な低下
 ミャンマーの出生率は、アジアの中でも特に急速な低下を見せている(表1参照)。合計特殊出生率は1960年代6.10から、70年代に低下に転じ、90年代には東南アジア平均より低下し、2005~10年は2.08と先進国並みに低い(米国2.07)。2010~15年には1.94に低下し、人口が再生産される水準以下になる。ASEAN最貧の発展途上国であるのに、何故かくも出生率が低いのか。国連推計では30年後の2030~35年は1.64となり、先進国より低い(一人っ子政策の中国並み)。

 実態的に言うと、現在40歳代以上の人は5~6人兄弟である。しかし、最近の若年者は3人兄弟、一人っ子も多い。都市部で出生率が低下傾向を示すことに加えて、農村部でも出生率が低い。

 ミャンマーの出生率が低い理由は何か。出生率は、一国の所得水準、就学率、識字率と関係していることがよく指摘される(各々、負の相関)。付表1参照。ミャンマーはASEAN最貧なのに、なぜ一番激しく低下しているのか(通常、低所得国は出生率が高い)。一つは識字率の高さの成果であろうか。ミャンマーは所得も低い、就学率も低い。しかし、識字率は、僧院教育の成果で、早くから高い。これが低出生率の背景であろうか。

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