☆ビジネス・レポート第四十七号☆

~総括原価方式と限界利益~

最近、東京電力の電気料金値上げに関するニュースが頻繁に採り上げられ、それに関連して東京電力の利益の出し方に批判が集中しています。
今回はこの東京電力の利益の出し方である「総括原価方式」について触れた後、一般企業の利益の出し方、特に「限界利益」についてレポートします。
 まず、「総括原価方式」とはどういう仕組みなのでしょう。ザックリ言ってしまえば費用(原価)に決められた報酬を乗せて総額を出し、これと電気の販売収入が等しくなるように電気料金を決めるやり方です。つまり、費用(原価)+報酬(利益)=電気料金収入という公式です。
この費用には、燃料費、人件費、修繕費、支払利息、減価償却費、固定資産税、事業税、他社購入電力量、その他費用があります。
そして、報酬とは、電気事業に投下した資産(レートベース)に報酬率を掛けた金額です。この報酬率は資産調達コストとされ、8%の時代もありました。
しかし、今は3%となっています。こうしてみると、資産を増やせば増やすほど事業報酬も増える仕組みとなり、過去には過剰投資も誘発されたようです。
原発もその一つかもしれません。
 もちろん、この総括原価は想定数値ですので、実際の電力供給量や電源構成によっては利益が出ないこともあります。しかし、日本経済新聞の2011年10月4日朝刊に報道された内容は、「報酬上乗せ2010年で6200億円 原価甘い見積もり」というものでした。要は電気料金を決める際の原価計算について、東京電力が実際の原価より過去10年間で6200億円近くも高く見積もっていたことが、政府の第三者委員会の報告書で判明したのです。でたらめな原価計算を行っていたわけですね。
一方、家庭向け(規制部門)と企業向け(自由化部門)とで大きく電気料金が違い、東電の利益の91%程度が家庭向けのものであるということが最近大きく採り上げられました。ちなみに、家庭向け(規制部門)の電気事業収入が24,203億円、販売電気量が1,095億キロワット時、電気事業利益1,394億円であり、電気料金は24,203÷1,095=22.10円/キロワット時となります。一方、企業向け(自由化部門)の電気事業収入は25,409億円、販売電気量が1,801億キロワット時、電気事業利益143億円であり、電気料金は25,409÷1,801=14.11円/キロワット時であり、両者を比べると圧倒的に企業向けが安いのです。
東電の問題は政府が絡んでいるのでややこしい。やはりまともな国会議員によって仕組みを変えていただかないといけないと思います。法改正ができるのは国会議員だけですからね。
さて、東電から離れて、一般企業の利益について簡単に触れていきましょう。
一般に企業の利益は次の公式で求められます。利益=売上-費用 つまり、利益を上げるには売上を上げるか、費用を削るか、もしくはその両方行うことです。
民間の経営者はどのようにしてこれを行うかで苦労しているのです。
そして、管理会計ではこの費用を、売上(操業度)と共に変化する変動費と、売上とは関係なくかかる固定費に分けます。ちなみに変動費には、原材料費、運搬費、外注費、歩合給等があり、固定費には、人件費、地代家賃、管理費等があります。ざっくりと変動費以外を固定費とみなすこともあります。
さて、先ほどの式を変化させると、売上-変動費-固定費=利益となります。そして、売上から変動費を引いたものを限界利益といいます。つまり、売上-変動費=限界利益または、限界利益=固定費+利益となります。
例えば、売価100万円で単位変動費70万円の商品ならば、1台30万円の限界利益となります。これは、固定費を引く前の利益ですから、1台売るたびに固定費30万円分を回収する力があるとみます。経営とは固定費を回収する作業だという人もいます。そして、全商品のもたらす限界利益の総額が総固定費に等しいときの売上高が損益分岐点です。いわゆる収支トントン状態のことです。紙面の都合上ここらで終わりにしますが、損益分岐点分析も面白いので気になる方は勉強してみてください。

SBI大学院大学准教授 太齋利幸

 
このレポートは2012年6月8日に配信したものです。

このページのコンテンツは、SBIホールディングス㈱様の協力により、転載いたしております。
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