ミャンマー 人口ボーナス再論-demographyよりhuman capital-

 アジアの少子化、そして人口ボーナス論による経済発展の見立てが流行っている。たしかに、「demographic dividend」(人口学的な配当)は経済発展にプラス要因であろう。しかし、あくまで要因の一つに過ぎない。経済発展と人的資源の関係を論じる場合、Human capital(人的資本)の方がもっと重要な要因ではないか。
 中国の成長減速を人口ボーナスの消滅から導くのも説得力に欠ける。人口減少の影響は極めて微々たるものだ。それに、アジアはまだ「若い」。
 本稿は、先の拙稿「ミャンマー 労働力資源を考える」の「人口ボーナス」に係る部分の拡張である(当Webサイト、2012年12月6日掲載参照)。

1、アジアの経済発展と人口ボーナス

 日本でも、10年前頃から「人口ボーナス」論が流行っている。「人口ボーナス」とは、子供と老人が少なく生産年齢人口(15~64歳)が多い状態を指し、子供の扶養が減り、労働人口が増え、高齢人口の割合が高い水準に達する前の、労働力資源が豊富で扶養負担(教育や医療・年金などの負担)が軽い、経済発展に有利な時期を言う。貯蓄率が上昇し、投資が活発化し、経済成長の要因となる。人口の規模や増加率ではなく、生産年齢人口(15~64歳)の増加が経済成長に寄与するという考えだ。(注、0~14歳+65歳以上を「従属人口」という)。

 アジア諸国の経済成長も、この「人口ボーナス」によるところが大きいという。最近は逆に、成長の終焉を論じるために、この用語が頻繁に使われている。(人口オーナス論、demographic onus)。先に、10年くらい前から流行したと述べたが、人口に膾炙したのは人口オーナス論から「アジアの老い」を論じる人が増えた数年前からであろう。特に脚光を浴びたのは中国の経済成長の終焉を“期待”するようになってからであろう(2006年頃からか)。

 この「人口ボーナス」という概念は、国連人口基金の1998年の年次報告書「世界人口白書」で用いられてから広がったようである(小島宏「東アジアの少子・高齢化と社会構造の変化」2003年3月、参照)。“demographic bonus”の訳語である。“demographic dividend”(人口学的な配当)や“demographic gift”(人口学的贈り物)という言葉も用いられている。アジアの経済成長に対する人口の寄与について論じた研究で頻繁に用いられている。

◇アジアはまだ若い!
 「人口ボーナス」は、通常、一国の出生率が急速に低下し高齢化が進む過程で現われる(ただし高齢人口の割合が高い水準に達する前)。つまり、「低出生率・低死亡率」の時期に、生産年齢人口の割合が高まる。そのためであろうか、人口ボーナス論を「アジアの老い」に結びつけた議論が多い。しかし、この議論は現場感覚がないのではないか。アジアの現場は、まだ若々しい。

 さて、経済成長は生産年齢人口の割合が上昇に転じるとすぐ始まるというより、経験的に、生産年齢人口がそれ以外の人口(従属人口)の2倍以上になる頃、経済成長が加速するとされる(従属人口指数の逆数で2.0以上、つまり従属人口指数が50を切った時期)。(注、従属人口指数が低下し始めた時点を人口ボーナス期の始点とする議論もある。定義は一定していないように思う)。

 表1は、アジア諸国の人口ボーナス期を示したものである(筆者作成)。アジア諸国は1960年頃から次々に「低出生率・低死亡率」の時期に達したが、この時期に経済成長を遂げた国も多くある。「人口ボーナス」が経済成長に寄与したように見える。(この点については後述参照)。

表1 アジア諸国の人口ボーナス期

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