転機到来、「デフレ容認政策」転換へ~政権の交代で円急落、日本株式急進へ~

11月14日解散が確定し12月16日に総選挙が実施されることとなった。その途端、円は2円の急騰を遂げ、11月15日は世界株安の中で日本株の独歩高となった。民主党の敗北、「対デフレ戦争」を唱える自民党安部総裁の首相就任の可能性が高くなったからである。円がいかに日銀のデフレ容認政策のプレミアムを受けてきたか、株がいかに日銀のデフレ容認策のディスカウントを受けてきたかを物語る。政権が交代し、日銀のデフレ容認政策が根本転換すれば、円と日本株式は劇的転換を見せるだろう。それは2005年の小泉郵政解散時を超える株価上昇をもたらすかもしれない。

景気=円高デフレ対策が争点の要に

安部総裁は2~3%のインフレターゲット、デフレ脱却までの日銀の無制限の金融緩和、日銀法改正を唱え、円高・デフレ脱却を政策のかなめに据えている。躍進が予想される日本維新の会、みんなの党などもほぼ類似の主張をしている。日本再リセッション化で景気対策が待ったなしとなり、日銀プレッシャーが高まり、長期円安、株高の条件が醸成されている。

選挙の争点は一気に景気一色になっていくだろう。増税や年金支給額減額など、景気にネガティブに作用するかもしれない案件は、野田内閣で一応のめどがつけられた一方、2012年3QのGDPは年率-3.4%と再度リセッション入りの危機に陥った。エコカー補助金の一巡、設備投資減少、輸出減などが要因であり、必ずしも一過性とは言えない。4Qには対中輸出減少、復興需要の一巡が加わり、引き続きマイナス成長持続は不可避と見られる。また家電産業の凋落、国内工場の閉鎖などで地域経済に打撃が与えられつつある。地方から、都会から今や景気対策を求める声は待ったなしに高まる情勢である。

中国に期待できず

期待されている中国の景況好転には多くは望めまい。好材料とされる10月の貿易黒字拡大の背景には輸入の停滞があり、内需不振を示唆している。2012年1兆元の景気対策が打ち出されたが2008年4兆元の時に比べ効果が見えない。外貨準備の頭打ちによる資金力の低下が影響しているものと思われる。さらに、ファイナンシャル・タイムズ(2012年11月13日)は、中国の国家備蓄局(State Reserves Bureau)が、アルミと亜鉛の備蓄買いを開始し、市況押し上げと関連国有企業援助に乗り出すと報道している。中国政府による強引な市場介入は、経済困難に対して、問題先送りで対応していることを示唆している。

アリバイづくり政策を正当化する日銀と専門家

こうした環境下で日本の内需を創造するためには日銀に対する要請は高まらざるを得まい。日銀は従来型のアリバイ作りのような小手先(効果ないと主張しながら小出しに行う)の金融緩和で批判をしのいできた。多くの専門家はそうした日銀の姿勢の理解者である。それはいわば「デフレ不可避論」と言えようか。いわく、①構造改革が必要(ずっと前から唱えられ、未だ実現していない)、②デフレ・供給過剰は世界的歴史的トレンド、③金融政策はこれ以上無理、など。本当にそうだろうか。米国において現実に成功している金融緩和の成功例を否定するのだろうか。仮に米国の金融緩和が無力(または副作用が大きく逆効果)であるとするなら、必ず失敗する米国金融緩和の結果をじっと待ち続ける以外にない。しかし米国の金融緩和政策が成功する可能性があるとするなら、金融政策の余地はある。デフレが世界トレンドであり歴史のトレンドには逆らえないと決めつけることはできず、少なくともトライする必要がありそれをしないのは「対デフレ戦争敗北主義」と言える。日銀は新時代の金融政策への進化が必要と言うことになる。

創造的金融緩和を試す意義はあるのに、なぜトライしないのだろうか。それはデフレの弊害があまり深刻にとらえられていないからであろう。しかし解散総選挙の目前に広がる景気悪化により、日銀と多くの専門家の傍観者的態度(結果に責任を負わない態度)は有権者に容認されなくなるだろう。

臨界点に来たデフレの災禍

デフレは生産性が上がらないが成長余地の大きいサービス産業を、価格下落によって疲弊させ経済活力を奪い続けた。デフレは円高とのスパイラルを引き起こし半導体、エレクトロニクス、素材などの日本の産業集積を破壊した。デフレは限りない貨幣選好を定着させリスクマネーを金融市場から追い出した。デフレは年金生活者や公務員などの確定給付受給者を厚遇、労働所得の不平等な分配を定着させた。デフレは弱者の賃金を引き下げ格差を拡大させた。これほどの問題にもかかわらずデフレ下でも政府・日銀が安閑としていられたのは海外景気からの恩恵があったからである。中国の混乱によりそれが期待できなくなり、デフレの痛みに国民、企業、産業は耐え切れなくなっている。とくにリーマンショック後の円高は、各国が近隣窮乏化的通貨安政策を取るなかで、円の独歩高とデフレ再燃を招き、日本企業に著しい負担を負わせ、日本企業独り負けの条件を作った。リーマンショック後の日本株の極端な独歩安はその象徴である。

総選挙後により政権交代が行われれば、日銀の創造的かつ大胆な金融緩和を軸とする徹底的リフレ政策が打ち出され市場の局面を大きく変えるだろう。米国では「財政の崖」つまり減税の停止と歳出削減の始動による景気悪化が懸念されているが、いずれ議会・共和党と政権との合意により減税の延長が予想される。これは金融政策への負担を軽減するため、ドル高要因となるだろう。年末年始の日本の政権交代、米国「財政の崖」の克服の先に、壮大な円安と日本株高が見えてきた。

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