意外と難しい「指数」について

日経平均やTOPIXなどは、「株価指数」「指数」「市場平均」「インデックス」「ベンチマーク」などと言われます。どれも言葉としては基本的に同じ意味で、市場全体の動きを表す統計指標が指数です。統計指標なので、重要なのは「長期間にわたって算出されていること」であり、過去との対比で今の相場がどの水準にあるかを投資家が理解できるために算出されています。

指数には非常にたくさんの種類が存在しています。「日本株の指数と言えば、日経平均とTOPIXぐらいじゃないの?」という人もいるでしょう。しかし、実際には数百という指数が算出されています。例えば、現在ETFとして上場しているものの中にも、TOPIX業種別指数やラッセル野村中小型株指数、S&P日本新興市場指数などがあります。こうした普段はあまり目にしない指数も含めると、実は数百という指数が日本株を対象として算出され、様々な投資家がそれを実際に利用しているのです。

また、指数の算出方法も多様です。「多様と言っても、日経平均のような株価平均型とTOPIXのような時価総額型ぐらいじゃないの?」という鋭い声もあるでしょう。その通り。メジャーな指数のほとんどすべてはTOPIXのような時価総額加重平均型であり、ごく一部に株価平均型もあるというのが実態です。しかし、昨今はこれも様相が変わってきていまして、時価総額でも株価平均でもない指数算出方法が続々と登場しており、加速する見通しとなっています。(海外では「アクティブETF」というのが上場し始めているというュースを耳にされた方もいると思いますが、こちらの方につながっている流れです。)

さて、業種指数で分かる通り、指数と言うのは(市場全体を含めて)特定の市場を対象として算出されており、その市場動向を示すことが求められています。逆に言うと、対象とする市場動向を的確に示すことのできない指数は、その役割を果たしていないことになります。

やっかいなことに、「市場動向を的確に示す」というのが投資家によって異なるところが、まず一つ目のポイントになります。投資ホライゾン(期間)が数日や数週間という投資家(銘柄をくるくると売買して儲けを出そうという投資家)にとって、日経平均とTOPIXの間にほとんど違いはありません。一方、投資ホライゾンが数年以上に及ぶ年金基金などの機関投資家にとって、日経平均とTOPIXの間には天と地ほどの違いがあります。それは、数年単位でみると指数のパフォーマンス自体に差が出るということもありますが、本質的にはもっと深い違いがあります。

ETF投資家の方々は、恐らく投資初心者と比較すると、指数に関する知識も豊富なのではないかと思います。指数について詳しいだけに「日経平均ではなく、TOPIXを使うべきだ」という風に考える向きも多いでしょう。しかし、それは正確ではありません。短期的な投資家にとっては日経平均もTOPIXも大差はないので、むしろETFとしての流動性(売買活況状況や売り買いの呼び値の開き幅など)の方がより重要な問題になるでしょう。

指数というと「既に分かりきったもの」「みんなも知っているもの」という印象がありますが、実は(ちょっと乱暴な言い方をすると)「ほとんど知られていないもの」であり、「ダイナミックに変化しているもの」です。

ETF投資家、あるいは一般的な個人投資家にとって、指数の違いはマニアックなもので、日常の投資行動にはあまり大きな意味を持たないかもしれません。しかし、指数を深く理解することで投資自体について深く理解することにつながると思います。少なくとも、機関投資家がどのように運用しているかということを理解する一助にはなると思います。

 本コラムでは、できるだけ具体的に指数の役割を説明しながら、投資家の投資戦略に役立つことを紹介していきたいと考えています。

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