日本株式市場でのPTS(私設取引システム)の広がり

 株の取引所といえばどこを思い浮かべるでしょうか?多くの方は東京証券取引所や大阪証券取引所を思い浮かべるかもしれません。しかし近年、このような規制取引所以外で取引が出来る、代替執行市場が普及し始めています。代替執行市場にはさまざまなタイプがありますが*1、特に2010年後半ごろからは、PTS(私設取引システム)が普及し始めました。
 PTSとは証券取引所を介さず有価証券を売買することが出来る電子取引システムのことで、実質的にはこれまでの取引所とほとんど同じような取引ができます。1998年12月の証券取引法の改正で取引所集中義務が撤廃され上場銘柄の取引所外取引が認められたことでPTSを開設することができるようになりましたが、すぐにはPTSの利用は広がりませんでした。2010年7月に日本証券クリアリング機構での清算・決済が開始されたことや、2010年10月に空売り注文の取扱が開始されたことなどが契機となり、PTS利用が広がり始めました*2。次ページの図は、PTSの出来高シェア(すべての取引所の売買株数に対するPTSでの売買株数の割合)の推移です。確かにPTSの売買代金のシェアは2010年後半ごろから急激に増えていることが分かります。とはいえシェアはまだ5%程度です。
 しかし、今年の10月からPTSに対して“5%基準の適用除外”という法改正が施行される予定で、これによりPTSのシェアが急拡大するのではないかと予想する人もいます*2。ここでいう“5%基準”というのは、発行済株式数の5%超を取引所外で取得する場合は公開買付(TOB)が義務付けられていることです。PTSは実質的には既存の取引所とほとんど同じような取引が行える場所ですが、法律上は取引所外となっています。そのため、大きな金額を投資する機関投資家の多くは、意図せず5%基準に抵触することを避けるために、PTSの使用を控えているといわれています。しかし、10月よりPTSが5%基準の適用除外となれば、今までPTSの使用を控えていた機関投資家がPTSを使用開始し、PTSの売買代金が増えると予想する人がいるわけです。
 このように日本株式の取引所においても競争が始まりそうです。個人投資家でもすでに証券会社によってはPTSに発注することが可能です。取引所の利用者である投資家にとっては、取引所間の健全な競争によって、利便性が高まることに期待したいところです。

注)
*1 加藤大輝、今後の拡大が期待される日本の代替執行市場、金融ITフォーカス2009年6月号
http://www.nri.co.jp/opinion/kinyu_itf/2009/pdf/itf20090605.pdf
*2 大崎貞和、期待されるPTSの拡大、金融ITフォーカス2012年9月号
http://www.nri.co.jp/opinion/kinyu_itf/2012/pdf/itf_201209_3.pdf

このページのコンテンツは、スパークス・アセット・マネジメント㈱の協力により、転載いたしております。
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