注目の大型IPO!日本航空(JAL)は買いか?

目覚ましい業績の急回復を遂げ、異例のスピードで再上場を果たす

日本航空(JAL)が、2010年1月19日の経営破綻からわずか2年8か月で再上場を果たす。想定売り出し価格(3500円-3790円)から算定した時価総額は約6700億円である。6700億円という規模は、1988年に上場したNTT、2010年の日本生命に次ぐ日本歴代3位である。9月の株式市場は同社の話題で左右される可能性が高く、市場全体が同社の再上場の動向を注視している。

はじめに、同社の決算内容から見ていく。同社の2012年3月期決算では、本業の利益を示す営業利益は、2049億円の黒字となり、会社更生計画の757億円黒字を大幅に上回った。
また、今期2013年3月業績予想も、売上高1兆2200億円(前年比1.3%増)、営業利益1500億円(同▲26.8%)、当期純利益1300億円(同▲30.3%)を予想している。増収減益の原因は、燃油費の増加や航空機材の償却期間の短縮、サービス品質向上への投資等による費用の増加のためである。しかし、今期の純利益1300億円は依然として大幅な黒字と言え、業績回復は鮮明だ。

業績の急回復は、徹底したコストカットにあり

同社が急速に業績を回復できた要因は、徹底したコストカットである。
2009年に会社更生法の適用を受けた同社は、はじめに大規模なリストラを行った。
破綻前にグループ全体で約48000人いた従業員のうち、3分の1にあたる約16000人をリストラした。また、リストラ対象外の従業員に対しても、職種別に20~30%の賃金削減を行った。結果、同社の従業員は、約32000人まで減少し一人あたりの平均年収(単体)も、破綻前の810万円から632万円まで人件費を削減した。大規模なリストラ、従業員の賃金削減の結果、全体の人件費は、破綻前の2009年度人件費803億円から、2012年度では466億まで下がり、約42%の人件費削減を達成している。

また、不採算路線であった国内線、国際線あわせて45路線からの撤退も行った。
不採算路線からの撤退により、2009年3月期営業収益1兆9500億円から2012年3月期には、営業収益1兆2000億円と約40%落ち込んだ。しかし、その一方で、2009年3月期の事業費1兆6800億円から、2012年3月期事業費8500億円と約50%のコストカットを達成している。つまり、営業収益は約7500億円落ち込んだものの、約8400億の事業費を削減したので、差額900億円の事業費削減を行ったことになる。

全日本航空(ANA)よりも高い収益性を確保

徹底したコストカットによって、現在の経営体質はどのように変化しただろうか。
まずは、同業他社の全日本航空(ANA)とスカイマークの航空券の最安価格と主要路線の搭乗率を比べてみよう。

航空運賃と主要路線の搭乗率は密接な関係があり、一般的に航空運賃が安いほど搭乗率は高くなる傾向にある。スカイマーク(SKYMARK)は航空運賃が2社と比較して安いため、搭乗率は80%前後の高い水準にある。一方、同社は航空運賃が3社の中で一番高いため、搭乗率が60%を下回っている。航空業界では、一般的に搭乗率60%が採算ラインと言われており、60%を下回る路線は赤字路線と判断される。しかしながら、JALの業績は大きく改善されている。

航空運賃が高く、搭乗率は低いにも関わらず、同社は、どうして利益を出すことができるのだろうか。その理由を見つけるために、航空三社の売上高営業利益率を比べてみよう。


(注)2010年度の日本航空(JAL)は上場廃止のため、0.00%と表示

売上高営業利益率は、企業が本業で稼ぎ出す利益についての収益性を判断する指標である。
同社の2012年度の売上高営業利益率は、17.01%と、若干スカイマークに劣るものの、全日本航空には2倍近い差をつけている。つまり、採算ラインの搭乗率60%を下回っても十分利益を生み出せるほど、収益性が高いことを表す。現状のJALの収益性であれば、仮に同社の搭乗率が50%前後でも利益が出せるのではなかろうか。

同社は、人件費削減、事業費削減を徹底的に行い、コストカットに努めた。その結果、低い搭乗率にも関わらず、高い収益をあげられる筋肉質な経営体質を獲得した。格安航空会社(Low-Cost-Carrir)の台頭や、燃料費の高騰など、今後航空業界は顧客獲得競争がより一層激化してくだろう。将来の航空業界の先行きには不安は残るものの、目先、同社は全日本空輸(ANA)やスカイマークに引けを取らない高い収益性は確保している。

上場後株価は公募価格を割る可能性が高い

では、同社の上場後の株価は、どのように推移するだろうか?
結論は、同社上場後の株価は、公募価格(3790円と想定)を割る可能性が高いと判断する。
同社株の公募価格は、9月10日に3500円から3790円の間で決定される。上限価格の3790円で公募価格が決定した場合、株価水準はPER5.3倍と、ANAのPER13.3倍と比較すると割安感が漂う。同社は、破綻時に2兆3000億円の損失を計上しており、法人税を払っていない。また、2018年度まで法人税を払う必要がなく、この点を考慮して全日本航空(ANA)と比較する必要がある。法人税(40%と仮定)の課税を考慮したPERは8.8倍となり、法人税の支払いを考慮した同社の株価水準は、決して割安とは感じられない。

また、需給面からも、同社の株価は、公募価格を割る可能性が高い。同社が再上場に際し、日本国内で調達する資金額は約5000億円。8月東証の平均売買代金が約8700億円であり、東証の一日の売買代金の約60%にあたる規模が吸収されることになる。これだけの規模の金額を、長期保有、優待目当ての個人投資家から資金を調達することは難しい。値上がり期待を持った短期売買の資金も、同社IPOに多く流入することや、上場後、新たに同社株に資金が入りにくい現状の相場環境を考慮すると、売りが優勢ではなかろうか。

高い収益性を獲得し、急激な業績回復を果たした同社だが、株価水準・業績面からみると公募価格に割安感は感じない。航空業界の厳しい将来性などが騒がれていることや、現状の相場環境を考慮すると、上場後同社の株価は下落する可能性が高いだろう。

システムトレードで株価を予想

公募価格での投資は魅力が薄い同社であるが、上場後に株価が大きく下落する局面で買い付けを行えば、投資チャンスはあるのではないかと考えた。では、セカンダリーにおいてどのタイミングで投資するのが妥当であろうか。一概には言えないかもしれないが、今回の場合、同社上場後の株価推移は、日本市場において直近で行なわれた大型IPOと言う視点で考えれば、2010年に新規上場した第一生命(8750)に近い形になるだろう。2010年3月にIPOした第一生命(8750)は、公募価格14万円に対し初値16万円と初値が公募価格を14%上回るものの、その後は売り圧力に押される形で上場3日目に150100円まで下落した。

そこで、上場後にJALを買ったときの損益のイメージを描くために、システムトレード用ソフトウェア「システムトレードの達人」を用いて、JALとイメージが近い第一生命(8750)について検証してみた。

第一生命の過去の株価データを使用した、売買シュミレーションの条件は以下の通りである。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
運用資金:100万円
売買手数料(往復)1000円
投資対象:第一生命(8750)
買いルール
上場2日目の寄付きで買い

売りルール
5営業日の翌日寄付きで売り
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

この検証を行うことで、セカンダリーでJALを買った場合、大まかに投資資金がどの程度増減するかイメージすることが出来るだろう。それでは具体的な検証結果を見てみよう。

【検証結果】

勝率: 0.00 %
勝ち数: 0 回
負け数: 1 回
引き分け数: 0 回

平均損益(円): -4,400 円  平均損益(率): -0.67 %
平均利益(円): 0 円  平均利益(率): 0 %
平均損失(円): -4,400 円  平均損失(率): -0.67 %

合計損益(円): -4,400 円  合計損益(率): -0.67 %
合計利益(円): 0 円  合計利益(率): 0.00 %
合計損失(円): -4,400 円  合計損失(率): -0.67 %

最大連勝回数: 0 回
最大連敗回数: 1 回
最大ドローダウン(簿価ベース): 4,400 円(2010/04/13)
最大ドローダウン(時価ベース): 46,800 円(2010/04/06)

第一生命は上場初日につけた高値168000円をピークに株価は下落トレンドに入ったため勝率は0%となった。この検証結果で注目していただきたいのは「最大ドローダウン」だ。
「5営業日の翌日寄付きで売り」と言う短期保有で検証した場合、最大ドローダウンが46800円となった。運用資金100万円に対して最大ドローダウンが46800円、率に換算すれば4.68%に当たる。今回の検証は、あくまでもJALの新規上場に近いイメージとして別の銘柄である第一生命(8750)で検証した結果で参考程度でしかない。ただこのように簡単な検証を行うことで、大雑把ではあるが「JALや第一生命のような超大型IPOを上場2日目に買って5営業日保有していると、そのときの最大ドローダウンは概ね5%程度くらいかな」と言うひとつの目安としては参考になるではなかろうか。

もちろん今回の検証結果は過去の株価データをもとに検証した結果であり将来も同様の結果が得られる保証はありませんが、少なくともこのように検証を行うことで根拠ある数字をもとに投資判断を考えることができると思います。みなさんもぜひ過去の株価データを使って分析してみてください。

【完全無料】株式投資ソフトのフリー版を無料プレゼントします。今回の記事のような過去の株価を使った検証が出来ますのでぜひお試し下さい。

(このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社及び関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします。)

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