☆ビジネス・レポート第三十二号☆

~福島第1原子力発電所事故とエネルギー問題を考える~ 

 2011年3月11日の東日本大震災に関連した災害の中で福島原発事故は、日本のエネルギー問題に対する根本的な問題を提起しました。震災当日まで、東京電力福島原子力発電所では、第1と第2合せて10基の原子炉が稼働しており、首都圏の所要電力の約1/3に相当する約900万Kwの電力を送る重要な役割を担ってきました。しかしながら、主として津波災害によって第1発電所の沸騰水型原子炉の再循環冷却系に用いる通常電源とECCS(緊急炉心冷却系)用非常用電源の両方が喪失するという前代未聞の大事故となりました。原子炉は、核燃料に中性子線が当たり連鎖反応によって核分裂が続くことで核エネルギーを熱エネルギーに変えることで蒸気タービンで発電機を回す訳ですが、強い地震があるとスクラム(制御棒を一気に核燃料の間に挿入すること)で連鎖反応が止まりますが、ウラン235の自然崩壊によって熱は出続けることが最大の課題です。こういう大地震の場合は、非常用電源によるECCSが自然崩壊熱を除去する閉ループ(放射能汚染水を外部に出さずに循環冷却を行う)を形成することで原子炉の安全性が保たれていました。例をあげると1979年のスリーマイル島事故では、一瞬原子炉は空焚き状態になりながらもECCSが作動し放射性物質による大気汚染や土壌汚染はほとんどありませんでした。しかしながら、今回の全電源喪失により、これまで人類が経験したことのない事故となりました。このことは、明らかに原子力安全神話の崩壊であり、東京電力の経営責任を問う前に原子力安全神話にお墨付きを与えてきた原子力工学を中心とする学識経験者によるミスリードが本質だと思います。
 こういう状況において重要なのは、民間活力であると考えます。1つは、原子力安全神話を総括した上で、原子力発電所の安全性確保の定量的シナリオ(特に対地震対策)を確立すべきだと思われます。また、一方では、原子力に代わる代替エネルギーの選択です。歴史的には、火力発電、水力発電、原子力発電、太陽熱発電、太陽光発電という発展経緯の中から次なるシナリオは、最先端技術によるイノベーションであると思います。具体的には、原子力発電の原理は、20世紀初頭であり最早古典的技術となりつつあります。これに対して太陽光発電は、半導体技術であり、1947年のウィリアム・ショックレイによるトランジスタの発明(ノーベル物理学賞)を起源とするものです。従って、短期的な発電コストは、既に設備コストは原子力と太陽光発電は、ほぼ同等になってきました。約35万円/Kwですが、燃料コストが極めて安いウランと比較しても太陽光は気候変動の影響は受けることはあるものの燃料コストはゼロです。一方、原子力発電については、使用済み核燃料の冷却コスト、廃棄物処理コストは、未知数であります。
 以上のような状況をふまえ、神奈川県知事に当選した黒岩祐治氏は、東電の計画停電に対する対策として神奈川県全世帯への太陽光発電の設置政策を打ち出しました。これは、東電が一般家庭から余剰電力に限って42円/Kwで買い取る制度を巧みに利用して、福島原発で失われた電力を補完するアイデアです。その根本となるのが、神奈川ソーラーバンクによる初期投資ゼロ・コンセプトなのです。黒岩新知事は、4年で200万世帯を実行するとのことです。


 2011年4月20日
SBI大学院大学副学長 教授 藤原洋

 
このレポートは2011年4月22日に配信したものです。

このページのコンテンツは、SBIホールディングス㈱様の協力により、転載いたしております。
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