中国製造業の海外進出

世界の工場ー中国

 中国は廉価で豊富な労働力、そして経済特区に導入された税制優遇を背景に、90年代以降世界から数多くの製造拠点を受け入れ、世界の工場と呼ばれるほどに成長しました。作業員を募集すれば数倍もの応募があり、内陸部から無尽蔵に人が供給されていたことから、いつまでも低コスト生産が続くと誰もがそう考えていたと思います。
 日系企業も2007年時点、既に東証一部上場企業のうち約6割が中国に進出しており、特に製造業を中心に中国に工場移転することは当たり前のことと思われる時期が続きました。

出所:21世紀中国総研(2007年現在)

高騰する人件費と労働人口の減少

 しかし、最近になって、流れが徐々に変わりつつあります。中国の人件費は年二桁以上の上昇率で上がってきており、また農村部の余剰労働力も一部では枯渇しつつあるといわれるようになりました。
 中国の都市部の人件費は2001年は月900元程度でしたが、2010年では月3000元(約4万円)と3倍強上昇しており、更に2011年から始まる第12次5カ年計画では2015年時点で所得を2倍にする所得倍増計画が盛り込まれています。また、ホワイトカラーはブルーカラーの倍程度の所得を得ており、所得倍増計画が計画通りに実行されれば、数年後には日米とそれ程差がなくなってくると予測されています。アジアの新興国といわれているタイ(2~3万円)、インドネシア(約2万円)、ベトナム(約1万円)、ミャンマー(約3500円)と比較しても中国の所得は急上昇しています。
 一方、農村部の余剰労働力が枯渇しているかどうか、ルイスの転換点に到達しているかどうかに関しては、2004年ごろから議論が始まりましたが、いまだに意見が二分しており、結論が得られていません。

余剰労働力

 余剰労働力はすでに枯渇していると主張する学者は2004年に中国広東省珠江デルタ、長江デルタに発生した工場労働者不足による賃金急上昇(民工荒)を例に挙げ、また中国政府の調査で都市への移住を考えている若者の大半はすでに農村に残っていないとし、中国はすでにルイスの転換点を過ぎていると述べています。
 一方、否定的な考えを持っている学者はまだまだ大多数を占めており、前述の民工荒は一時的なことであり、安価な労働力はまだ存在していると主張しています。彼らは、2004年の出来事は、大学の進学率の急上昇による下層労働市場への供給の一時的な減少や農民にも最低賃金を当てはめたために起きた現象などと説明しています。現に大学生は2007年で1885万人と1998年の約8倍に増えていると指摘しています。ただ、大学生の就職率は7割程度で、約3割は下層労働市場で働かざるをえず、結果的に、中長期で見れば労働力の質の改善に繋がると述べています。
 いずれにせよ、中国の一人っ子政策や高齢化により、生産年齢人口(15~64歳)は近いうちにピークを迎える可能性は高く、以前のように低賃金による労働力集約型産業がさらに発達するとは考えにくい状況であります。


出所:中国統計局のデータをもとにスパークス・アセット・マネジメントが作成

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