ダウ平均今年はどうなるのか?

新年初のコラムとなりますが、今年もお付き合いのほど宜しくお願いいたします。

さて、昨年の9月7日付で「大統領選挙の前年はダウ平均が上がる?」というタイトルのコラムを書きました。これは、株式市場に於ける最も有名なアノマリーの1つである「大統領選挙の前年のダウ平均は上昇する」というアノマリーについて触れたものです。
http://money.minkabu.jp/23599

(注)アノマリー:市場の動きに関して、合理的な説明は必ずしも出来ないけれども、不思議によく的中する現象のこと

2011年が終わり、結果がどうだったか?と言えば、ダウ平均は5.5%上昇して引けました。

昨年は飛び抜けて良かった米国株

アノマリー通りだった訳ですが、昨年の米国株の強さは、驚異的でした。世界の株式市場の昨年の年間騰落率は以下の通りでした。
http://kabunogakkou.com/sekaikabuka.php
(表の中の11年という欄をご覧下さい)

これを見ると、先進国の株式市場の年間騰落率は、軒並み2桁のマイナスだった事が分かります。比較的ましだったのが、イギリスのFTSE100指数の-5.5%、スイスのSMI指数の-7.7%といったところで、後は軒並み2桁のマイナスです。

新興国も同様に冴えず、同じく軒並み2ケタのマイナスでした。数少ないプラスの年間騰落率を残したのは、インドネシアのジャカルタ総合指数(+3.2%)とフィリピンの総合指数(+4.7%)でした。ベネズエラが大きなプラスになっていますが、ご存知の様に普通の国ではありませんので、理由もよく分かりませんし、分析しても仕方が無いでしょう。

意外な所では、タイのSET指数が-0.7%と、あれだけの洪水の被害に見舞われたにも拘らず底堅かったのが目立ちます。

この様に昨年は、先進国も新興国も等しく、株式市場が非常に不振な年でした。ですので、世界中の株式市場が不振な中、「資本主義の総本山」である米国の株式市場の年間騰落率がプラスであったというのは、ある意味で驚異的な出来事だったと言えると思います。

悪材料目白押しでも強かった

もう少し精緻な話をすれば、表をご覧になってお分かりの通り、ダウ平均は5.5%の上昇でしたが、ナスダック総合指数は1.8%の下落でした。表には載っていませんが、米国株全体の動きを表すS&P500指数(日本で言えばTOPIXに相当)は、フラットでした。
(2010年末が1257.64、2011年末が1257.60なので正確にはマイナス0.003%)

有名な「大統領選挙の前年は年間騰落率がプラスになる」というアノマリーはダウ平均についてのものなので、昨年も成立した訳ですが、S&P500指数の騰落率フラットという実績にしても、他の先進国・新興国の主要市場に比べれば遥かに良いものであった事は間違いありません。

昨年9月7日付のコラムでは、9月6日時点のダウ平均の年初来騰落率が-3.79%だったわけですが、その時点から年末までに何があったのでしょうか。

例えば、フランス・ベルギーの金融大手デクシアの経営破綻(10月)や米金融(準)大手MFグローバルの経営破綻(11月)がありました。言うまでもなく、これらの出来事の背景には、深刻化を続けた欧州周縁国の債務危機の問題があります。昨年9月初旬と年末を比べれば、年末時点の方が、欧州債務危機の深刻度は間違いなく増していたと言えるでしょう。

また、米国景気に与えた直接の悪影響はそれ程大きくないにしても、タイの洪水問題も、9月初旬の時点では相場に織り込まれていなかった悪材料です。

東南アジアのモノ作りのサプライチェーンが寸断され、インテルの10~12月期の売上高(予想)が下方修正されるなど、米国企業で悪影響を受けた会社もあります。(他には、HDD製造のウェスタン・デジタルなど)

また、これも米国景気に直接影響を与える話ではないにしても、金正日の死亡という、地政学的リスクの上昇という観点から嫌気される出来事もありました。

欧州債務危機の深刻化を中心としたこれら悪材料が目白押しであったにもかかわらず、9月6日から年末にかけて、ダウ平均は9.3%も上昇したのです。

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大統領選挙の前年はダウ平均が上がる?

【著者】  株の学校
アノマリーとは 株式市場には様々なアノマリーがあります。アノマリーとは、市場の動きに関して、合理的な説明は必ずしも出来ないけれども、不思議によく的中する現象のことで、例えば「月初は株価が高い」といった市場関係者の経験知から導き出された「株価の動きのクセ」のようなものです。 株価は、基本的には企業のファンダメンタルズを反映して形成される訳ですが、合理的では無い側面からも株価の形成をある程度までは説明出来るという事が現実に存在しています。 アノマリーは、投資家の行動は合理性だけでは説明できないという前提に立つ行動ファイナンスの研究対象でもあります。 株式市場のアノマリーについては、御多分に漏れず、投資大国である米国で研究が盛んで、1968年から毎年出版されている「Stock Trader’s Almanac」という本は有名です。Almanacというのは暦、年鑑といった意味です。ホームページもあります。 http://www.stocktradersalmanac.com/sta/home.do 最も有名なアノマリー さて、数多あるアノマリーの中でも、最も有名なものの1つに、米国の大統領選挙の前年は(米国の)株価が上がる、というものがあります。非常に有名ですので、皆さんもこのアノマリーはお聞きになった事があるのではないかと思います。 アノマリーも、各々、当たる確率が随分と違う訳ですが、この米国大統領選挙の前年は株価が上昇する、というアノマリーは、極めて確度の高いアノマリーです。 ダウ平均がスタートしたのは1896年(現在の様に構成銘柄数が30銘柄になったのは1928年)ですが、それ以降、大統領選挙は28回行われています。その内、大統領選挙の前年にダウ平均が下がったのは僅か5回です。 しかも、1943年以降は、17回連続して上げています。前回大統領選挙があったのは2008年ですが、その前年の2007年のダウ平均の上昇率は6.4%でした。 サブプライムローン問題は、既に2006年頃から問題視され始めており、2007年の8月には所謂「パリバ・ショック」も起きているのですが、それでも、2007年のダウ平均は年間ではプラス(+6.4%)で終えています。 なお、年間騰落率は、前年末の終値とその年の終値を比較して算出します。今年で言えば、昨年末の終値と今年の終値を比較するという事です。 ダウ平均創設以来の過去28回の大統領選前年に於いて23回上昇し、かつ、直近の17回に関しては全て上昇しているというのは、かなり強烈なアノマリーだと言えるでしょう。 大統領選挙の前年には何故株価が上がるのか? では、何故大統領選挙の前年は株価が上がり易いのでしょうか?これだけ強力なアノマリーが存在している以上、単なる偶然ではないでしょう。 理由として考えられるのは、やはり、経済・財政政策の存在です。翌年に大統領選挙が控えているので、共和党、民主党を問わず、与党としては、景気を良くしようと必死になるのは当然です。 また、1期目の大統領の場合、再選を何としても実現したいと個人的にも必死になるでしょう。結果として、様々な景気刺激策(減税、公共投資etc.)が打ち出される事になります。 その結果が何故大統領選挙の年ではなく、その前年に現れているのかについては、断定的な事は言えませんが、景気刺激策を打ってもすぐに効果が出る訳ではない為、大統領選挙の年に景気刺激策を打っても遅いので、前年から刺激策が打ち出される事が多く、株価は先見性があるので、効果を見越して上昇している、という説明が一般的です。 また、大統領選挙と次の大統領選挙の間に行われる中間選挙に於いては、与党が負ける事が多いです。例えば、昨年の中間選挙では民主党が敗北していますし、ブッシュ政権時代の2006年の中間選挙では共和党が、クリントン政権時代の1994年の中間選挙では民主党が敗北しています。 中間選挙で与党が敗北した場合、政権としては、危機感を強めて強力な景気対策に取り組むであろう事は想像に難くありません。大統領選挙の前年というのは、中間選挙の翌年です。前年の11月に中間選挙の結果が出て、景気対策に本腰が入れられる事になれば、株式市場もそれを好感する、という訳です。 今年は大統領選挙の前年 来年は大統領選挙の年であり、今年はその前年です。現職のオバマ大統領は1期目ですから、当然、来年の大統領選挙で再選を目指しています。また、昨年の中間選挙では民主党が敗北しています。景気刺激策が打たれて株価が上昇するパターンになっている訳ですが、株価はどうなっているでしょうか? 9月6日終値時点での、ダウ平均の年初来騰落率は、3.79%のマイナスです。 http://www.capital.co.jp/world_index.pdf 欧州のソブリン債務懸念や米国景気の二番底懸念で、7月半ば以降株式市場は冴えない展開が続いていますが、1943年以来続いている、大統領選挙の前年に於ける強力なアノマリーが今年も健在なのであれば、年末までには、ダウ平均は今よりも高い水準まで戻すという事になります。 逆にそうならない場合、今年は、大統領選挙の前年にダウ平均の年間騰落率がマイナスになるという、1939年以来の出来事が起きるという事になります。 アノマリーが通用しない可能性のある懸念材料 アノマリーが勝つか、現下の景気不安が勝つか興味深いところですが、1つの心配材料としては、今年に関しては、政権が景気刺激策を十分に打ち出せない可能性がある、という点があります。 ご存知のように、先月上旬に、米国の連邦債務上限の引き上げに際して民主党と共和党の妥協が成立し、財政赤字の削減の方針が決まりました。景気刺激策を打ち出すためには、財政措置が必要なケースが大半です。財政赤字の削減が義務付けられている以上、大統領選挙の前年に行われてきた景気刺激策をこれ以上打ち出すのは簡単ではないです。 今週の木曜日(8日)に、オバマ大統領は議会で演説し、景気・雇用対策を提案する予定になっていますが、必要な財政上の措置との絡みで、十分な効果のある景気対策と成り得るかは疑問です。 なりふり構わず景気対策を行う、という事が難しいのであれば、大統領選挙の前年のアノマリーが存在する前提条件が脅かされる事にもなる訳で、今後の成り行きが大いに注目されます。 日本株への影響は? 改めて言うまでもありませんが、日本の株式市場は米国の株式市場の影響は強く受けています。外国人投資家が売買代金の過半を占めている状況に於いては、これはある意味当然の事です。従って、今年の残り4ヶ月の日本株のパフォーマンスがどうなるかは、大統領選挙の前年のダウ平均に関してのアノマリーが通用するか否かに大きく左右される可能性が高いです。 このように日本株の売買で利益を上げる為には、持っておくべき知識と経験があります。なんとなく売買をしていて利益を上げさせてくれるほど甘い世界ではありません。 投資家として、トレーダーとして、きちんとマーケットについて理解を深め、リスクとリターンを学んでから株の売買に臨んでください。 それでは、次回もお楽しみに! 株の学校 講師:シェアホルダー/窪田
 

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