金融市場安定の兆し!?G・S決算を可視化

サブプライム危機と金融市場の混乱、さらにその後の実体経済の悪化と、大変厳しい事業環境が続き世界の金融機関が苦しむ中、そのサブプライム危機の震源地アメリカでは、投資銀行最大手のゴールドマン・サックス・グループ(以下ゴールドマン)が、好調な決算を発表しました。ちょうど同じく今週、日本の大手銀行の下方修正の発表や赤字決算観測が相次いだのとは実に対象的ではありますが、この好調な決算は世界的な金融危機からの脱却を示す先行指標となるのでしょうか?今回は、今週米国時間13日(月)に発表された、ゴールドマンの第1四半期決算について、その内容をグラフ化しながら見ていきたいと思います。

まずはじめに、グラフ1で、全体感を見てみたいと思います。ご覧の通り、前年度第4四半期に1999年の上場以来初めて四半期ベースの赤字に転落したものの、この第1四半期は見事に回復を印象付ける四半期となりました。一株当たり利益が3.39ドルと、前年同期の3.23ドル、市場予想の1.6ドル前後を上回ったようです(ただし、会社は今期より会計年度末を11月から12月に変更しており、2008年12月単月では7.8億ドルの赤字)。

次に、同じくグラフ1で、四半期毎の部門業績推移を見てみたいと思います。下記部門毎の概要も参考に、グラフにご注目ください(以下部門は、下記の①~③で表現させて頂きます)。

①”Investment Banking”:投資銀行部門。M&Aの仲介や株式、債券の引き受け業務等での収益になります。
②”Trading and Principal Investments”: トレーディング、及びプリンシパル(自己資金)投資の部門で、株式、債券、為替、商品のトレーディング損益のほか、企業投資や不動産関連等の投資損益もここに含まれます。
③”Asset Management and Securities Services”:資産運用、並びに証券サービス部門で、資産運用ビジネスによる管理その他の手数料収入や、ヘッジファンド向けサービス(プライム・ブローカレッジ)の収入等がここに含まれます

この第1四半期の特徴を考えると、①は4四半期連続での減少になったものの、②の大きな改善と、③の安定的な増加によって、市場予想を上回る収益を上げた、ということになるのだと思います。以下、右下の数字をクリックして頂きながら、グラフ2、3、4で、各部門に関して、詳細を見てみたいと思います。

まずは①Investment Bankingです。グラフ2より明らかな通り、M&A案件の減少等の影響で財務アドバイス収入(”Financial Advisory”)は引き続きの減少になっているものの、債券引受手数料(”Debt Underwriting”)が増加に転じ、全体の下落ペースを若干緩和させています。一方、株式引受手数料(”Equity Underwriting”)は大幅に減少しており、株式市場の冷え込みと企業の株式による資金調達意欲の減退を示すと共に、この改善が部門収益の向上に不可欠なことが見て取れます。ここ最近、株式市場自体は以前に比べて落ち着きを取り戻して来ており、今後株式市場を通した資金需要の盛り上がりに期待したいところです。

次にグラフ3で、②Trading and Principal Investmentsについて見てみます。不動産関連の損失、及び企業関連の損失でプリンシパル投資(”Principal Investments”)は引き続き赤字が続いているものの、債券・為替・商品のトレーディング収入(”FICC” =Fixed Income, Currency, and Commodities)が大幅に伸びて、これが部門全体、ひいては会社全体の好業績を支えています

最後に、③Asset Management and Securities Servicesについて考える重要なポイントとして、運用資産総額をグラフ4で確認してください。総額自体は一時に比べて(例えば2007年度末に比べて)減少しているものの、その多くの要因が株式市場の混乱に起因していたこと、さらにその資金流出は既に落ち着きはじめていること、が見て取れます。特に、前述のように、株式市場の環境も底打ちしてきた現状を考えると、この部門は今後比較的安定的に収入を確保して行く事が出来そうです。

このように、まだトレーディング頼みで本格的な回復には遠いまでも、確実に数字を上げつつ、業界内の地位を確固たるものにしているゴールドマン。13日の第1四半期の決算発表の翌日には、50億ドルの増資も正式発表し、公的資金の返済を宣言するなど、本格回復に向けて着々と準備を進めているように見えます。米国では、このゴールドマンに続き、ワコビアも好調な決算を示唆するなど、世界の金融市場安定に向けて、しばらくは良いニュースも続きそうです。日本市場、そして日本の金融機関がこの波に乗り遅れないよう、引き続き注目したいと思います。

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Data source: 会社HP(http://www2.goldmansachs.com/our-firm/investors/financials/index.html

*vizoo*
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