アノマリーとは
株式市場には様々なアノマリーがあります。アノマリーとは、市場の動きに関して、合理的な説明は必ずしも出来ないけれども、不思議によく的中する現象のことで、例えば「月初は株価が高い」といった市場関係者の経験知から導き出された「株価の動きのクセ」のようなものです。
株価は、基本的には企業のファンダメンタルズを反映して形成される訳ですが、合理的では無い側面からも株価の形成をある程度までは説明出来るという事が現実に存在しています。
アノマリーは、投資家の行動は合理性だけでは説明できないという前提に立つ行動ファイナンスの研究対象でもあります。
株式市場のアノマリーについては、御多分に漏れず、投資大国である米国で研究が盛んで、1968年から毎年出版されている「Stock Trader’s Almanac」という本は有名です。Almanacというのは暦、年鑑といった意味です。ホームページもあります。
http://www.stocktradersalmanac.com/sta/home.do
最も有名なアノマリー
さて、数多あるアノマリーの中でも、最も有名なものの1つに、米国の大統領選挙の前年は(米国の)株価が上がる、というものがあります。非常に有名ですので、皆さんもこのアノマリーはお聞きになった事があるのではないかと思います。
アノマリーも、各々、当たる確率が随分と違う訳ですが、この米国大統領選挙の前年は株価が上昇する、というアノマリーは、極めて確度の高いアノマリーです。
ダウ平均がスタートしたのは1896年(現在の様に構成銘柄数が30銘柄になったのは1928年)ですが、それ以降、大統領選挙は28回行われています。その内、大統領選挙の前年にダウ平均が下がったのは僅か5回です。
しかも、1943年以降は、17回連続して上げています。前回大統領選挙があったのは2008年ですが、その前年の2007年のダウ平均の上昇率は6.4%でした。
サブプライムローン問題は、既に2006年頃から問題視され始めており、2007年の8月には所謂「パリバ・ショック」も起きているのですが、それでも、2007年のダウ平均は年間ではプラス(+6.4%)で終えています。
なお、年間騰落率は、前年末の終値とその年の終値を比較して算出します。今年で言えば、昨年末の終値と今年の終値を比較するという事です。
ダウ平均創設以来の過去28回の大統領選前年に於いて23回上昇し、かつ、直近の17回に関しては全て上昇しているというのは、かなり強烈なアノマリーだと言えるでしょう。

大統領選挙の前年には何故株価が上がるのか?
では、何故大統領選挙の前年は株価が上がり易いのでしょうか?これだけ強力なアノマリーが存在している以上、単なる偶然ではないでしょう。
理由として考えられるのは、やはり、経済・財政政策の存在です。翌年に大統領選挙が控えているので、共和党、民主党を問わず、与党としては、景気を良くしようと必死になるのは当然です。
また、1期目の大統領の場合、再選を何としても実現したいと個人的にも必死になるでしょう。結果として、様々な景気刺激策(減税、公共投資etc.)が打ち出される事になります。
その結果が何故大統領選挙の年ではなく、その前年に現れているのかについては、断定的な事は言えませんが、景気刺激策を打ってもすぐに効果が出る訳ではない為、大統領選挙の年に景気刺激策を打っても遅いので、前年から刺激策が打ち出される事が多く、株価は先見性があるので、効果を見越して上昇している、という説明が一般的です。
また、大統領選挙と次の大統領選挙の間に行われる中間選挙に於いては、与党が負ける事が多いです。例えば、昨年の中間選挙では民主党が敗北していますし、ブッシュ政権時代の2006年の中間選挙では共和党が、クリントン政権時代の1994年の中間選挙では民主党が敗北しています。
中間選挙で与党が敗北した場合、政権としては、危機感を強めて強力な景気対策に取り組むであろう事は想像に難くありません。大統領選挙の前年というのは、中間選挙の翌年です。前年の11月に中間選挙の結果が出て、景気対策に本腰が入れられる事になれば、株式市場もそれを好感する、という訳です。








