過去のバブル崩壊後の経済への影響を見ると、短期間に景気回復した場合と、崩壊後の不景気が長期にわたった場合があります。その違いはどこから来るのでしょうか。また、今回のサブプライムローン問題から始まる世界的な株価大暴落は、今後どれくらいの影響を経済に及ぼすのでしょうか。
表1に、過去のバブル崩壊後の社会状況をまとめました。
大恐慌と東京バブルは深刻な経済低迷を引き起こし、景気回復までに長期間が必要でした。一方、チューリップバブルや南海会社バブル、ITバブルなどは他のバブルと比較して深刻な経済危機は起こらず、比較的早期に景気が回復しています。
この違いは、不動産価格の下落と、バブル崩壊による被害者の数が、最も大きな要因になっています。
不動産価格が下落すると、住宅を保有する一般市民が含み損を抱えます。含み損を抱えた人達は、投資や消費に消極的になり、景気がさらに減速してしまいます。これは、東京株式バブル崩壊後、日本経済が長期にわたって悩まされた問題です。
被害者の数は、バブルへの参加者の多さによって決まります。チューリップバブルは、ごく一部の投機家が熱狂的に参加しました。バブル崩壊後は逃げ送れた投機家は破産しましたが、商人や一般市民はほとんど影響を受けませんでした。一方、大恐慌の際は2百万人が投機に参加したとも伝えられ、参加者は広く一般市民に広がっていました。バブル崩壊の影響を、広く一般市民が受けると、早期の景気回復は望めない傾向になります。
銀行の破綻も、その後の景気に深刻な影響を及ぼします。投機資金の供与や銀行自身が投機に走っている場合などは、バブル崩壊とともに銀行が相次いで破綻します。経済の根幹をなす金融システムが破壊されてしまうと、長期間不況が続いてしまいます。