JALが2012年に再上場を計画、再生企業の株は買いなのか?

「沈まぬ太陽」――JAL再上場を考える

いささか気が早いが、再建中のJALの再上場の可能性を考えてみたい。一部報道によれば、会社更生手続き中のJALが、2012年末をめどに再上場を目指す方針であるという。31日に東京地裁に提出する更生計画案で「有力な選択肢」として盛り込む。JALは今年2月に上場廃止になっており、計画通り2012年末に再上場すれば、3年弱での再上場となる。

事実上の倒産でいったん上場廃止となった企業が再上場した例は多い。古くは昭和40年(1965年)に当時戦後最大と言われた500億円の負債を残して倒産した山陽特殊製鋼 (5481) が1980年11月に再 上場している。最近の例では、1998年に経営破たんした旧日本長期信用銀行の新生銀行 (8303) が04年2月に、旧日本債券信用銀行のあおぞら銀行(8304) が0 6年の11月に再上場している。倒産後に再建がままならず消えていく企業が多い中で、再建を果たし再上場にこぎつけるのは、企業として幸せな例ということができるだろう。

管財人としてJALの再建を支援している企業再生支援機構は、今年1月の支援決定から3年以内(~13年1月)に再建手続きを終える計画で、12年末の再上場は言わば既定路線ともいえる。今年11月にも再建計画が認可されれば、支援機構が3500億円を出資して経営を主導していくと見られる。JALは2011年3月期に約120億円の債務超過が残る見通しだったが、4~6月期の業績が改善したため、同期末の債務超過状態は解消される可能性が出てきており、再上場への道を着々と歩いていることになる。

支援機構が出資する3500億円は公的資金だから、再上場による株式売却で、公的資金を返済することにもなり、国民負担が軽減されるという利点は確かにある。だが、新生銀行、あおぞら銀行ともに再上場後の株価の動きはあまり芳しくない。新生銀行、あおぞら銀行とも、いまだに独自の戦略をうまく打ち出せずに呻吟している……。いまだに利益が低水準で、新生銀行などはいまだに預金保険機構や整理回収機構が大株主のままだし、無配継続が続いている。市場にしてみても、これまでのところ、再上場に際して市場から資金を吸い上げるだけということになっており、短期間での再上場の意義には疑問符が付く。新生銀行、あおぞら銀行の例では「儲かったのはハゲタカファンドだけ」という批判も浴びた。

「ナショナル・フラッグ」の交代劇も着々と進んでいる。6月の国際線と国内線を合わせた旅客数ではANA (9202) がJALを初めて上回った。ANAが前年同月比9.6%増 365万514人と大幅に伸びたのに対し、JALは0.9%減の355万3695人にとどまった。約10万人の差。JALは路線や便数の削減を進めており、ANAの首位が定着する公算が大きい。

公的資金の返済だけを目的に短期間での再上場がJALにとっても株式市場にとっても、決してよいことではないと考えるのは筆者だけだろうか。仮に「ナショナル・フラッグ」という“翼”を失ったJALの利益水準が「低空飛行」を余儀なくされれば、JALブランドそのものが消滅する可能性が出ないとも限らない。実際、支援機構は投資ファンドや海外航空会社への売却も視野に入れているという。投資ファンドなどの場合は、最終的には「売り抜け」が目的だから、JALにとって必ずしも良いこととは言い切れない。15年かけて再上場した山陽特殊製鋼のように十分に財務体質を改善し十分な利益を上げられるようになるまで、見守ることも必要な気がするのだが……。




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