史上空前の資本余剰、3つの出口しかない
~①流動性の選好(日本病) ②過剰設備投資 ③資産価格上昇~
危機前も危機後も空前の資金余剰、運用難
ITバブル崩壊、サブプライム危機、リーマンショック、ギリシャ危機と金融ショックが常態化しつつある中で、変わらぬ一つの事実が明白になっている。それは資本過剰と言うことである。2005年当時のFRB議長グリーンスパン氏は金融引き締め下、景気拡大局面での長期金利の異例の低水準状態を「謎(conundrum)」と指摘したが、それは潤沢な資本余剰がもたらしたものであった。バーナンキ現FRB議長はその原因を「世界的貯蓄余剰(global saving glut)」つまり新興国や日本など海外(米国の外)で金融危機のトラウマ、人口動態など様々な理由で貯蓄余剰が起き、それが余剰資金となって米国長期金利を押し下げている、と説明した。
シーゲル教授の「債券バブル」論
サブプライム危機、リーマンショックによる資産価格の大暴落と極端なリスク回避、デレバレッジにより、一旦資本余剰は消滅したと思われた。しかし危機が沈静化した時点で、再度資本余剰が顕在化している。需要の落ち込みにより、債務国米国ですら家計も企業も大幅な貯蓄余剰となった。確かに政府部門の赤字が世界的に大拡大しているが、それでは吸収しきれない金余り状態である。
ギリシャ危機を口実に米国、イギリス、日本などの大国も財政破綻するというソブリンリスク論が花盛りだが、それとは裏腹に、米英日ともに政府の借金コストである長期金利が大幅な低下の一途を辿っている。8/19/2010付のウォールストリート・ジャーナル紙は「今壮大な債券バブルが発生している」とするPennsylvania大学のジェーミー・シーゲル教授の論文を掲載している。

資本余剰の原因は資本生産性の向上(当社の主張)
この資本余剰の原因は何か。①過剰な金融緩和によるものなのか、②バーナンキ説のような世界的貯蓄余剰なのか、③生産性向上による企業利潤率の上昇によるもの(当社見解)なのか。一般論としては、①の過剰金融緩和説が受け入れられているようである。過去の資本余剰はグリーンスパン前FRB議長による過剰な金融緩和によるもので、それがサブプライムバブルをもたらした、と解釈されてきた。また現在は危機対応の異例の金融緩和が資本余剰をもたらしている、と見なされている。その分析は別に論じるとして、どのような原因によるにせよ、この資本余剰は当分解消しないことは明らかである。








