望まれるデフレ脱却を目指す政策の実現

 7月11日に実施された参議院選挙では、民主党の獲得議席が事前予想を大きく下回る44議席となり、連立与党は参議院で過半数割れとなりました。一方、選挙区で票を伸ばした自民党が51議席を獲得し、無党派層の取り込みに成功したとみられるみんなの党は10議席を獲得しました。衆院・参院の「ねじれ」が復活した中での国会運営の行方は予断を許しませんが、個別の法案ごとに連携をする部分連合(パーシャル連合)が行われるのではないかといわれており、各党の政策に対する考え方が問われることになると思われます。さて今回の参議院選挙に際して各党が掲げたマニフェストで、多くの党が名目GDP成長率の数値目標を共通の項目として掲げていました。

日本の名目GDPの推移

 前頁の図に示されるように、日本の名目GDPはバブル崩壊後成長が止まり、1995年以降ほぼ横ばいで推移しています。成長が失われた日本の状況は「失われた10年」と呼ばれており、その間に日本で行われた金融・財政政策は、リーマン・ショック後の世界大不況に対応している欧米の政策当局の反面教師にされているそうです。これまでの日本では、「良いデフレ」といった表現がなされていた様にデフレがもたらす弊害が比較的軽視されていたようですが、各党のマニフェストに記載されたように、デフレ脱却に向けた動きが見え始めたのは、日本経済や株式市場にとってプラスだと考えられます。

金融政策・経済成長に関して主要政党のマニフェストに記載されている主な内容

 デフレがもたらす弊害については、過去の「まいこばなし」で何回も取り上げてきました。
 まずデフレと名目GDP成長率の低迷は、第32号のまいこばなし「望まれる名目ベースの経済成長」で取り上げたように政府債務の更なる拡大につながると考えられます。
7月23日に発表された「平成22年度年次経済財政報告」でも、日本の債務残高の拡大
は名目GDP成長率の低下の影響が大きく、景気低迷による税収減を通じた歳入減が
基礎的な財政収支の悪化の過半を占めると分析されています。
また第26号「デフレと家計と経済成長」で分析したように、デフレは実質経済成長率の 低下や失業率の増加につながるとともに、雇用者報酬の減少をもたらす可能性が高くなります。90年代以降の各国の民間部門の時間当たり賃金の上昇率の比較を下図に示しましたが、デフレ環境下にあった日本の賃金のみが2000年以降下落していることがわかります。

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