2番底に陥るとしたらそれはもっぱら心理悪化→株価下落をもたらす政策ミス
株価下落の下での景気回復はあり得ない。唯一の懸念は政策の失敗により株価下落を招き、心理悪化の悪循環が始まることである。それは①当局の意思欠如、議会の妨害、②市場の拒否・金利上昇・ドル安、のいずれかによって起きるが、今はそのどちらも全く不安はない。バーナンキFRB議長は必要なら準備預金金利の引き下げ、資産購入の再開、低金利持続の意思表明などの追加策があることを表明した。大恐慌専門家のバーナンキ議長が、間接的に資産価格(特に株価)を念頭に置いていることは間違いないであろう。また悲観論者が何時も懸念するドル安・金利上昇など市場の反乱が起き追加対策が実施できない、などということは全く起きていない。逆にドル高・金利低下の進行で市場は更なる政策出動とリスクテイクを求めていると解釈できる。
日本型デフレにアメリカが陥らない2要因
米国が日本型の長期デフレに陥らないと考えられる理由は、①日本のデフレは超円高の下での企業のコスト削減圧力が主因であったこと(投資ストラテジーの焦点287号参照)、②日本が陥った「金利裁定の喪失」に米国が陥らないこと、の二つによる。①は既にレポートしているので、②について触れる。
資産デフレを阻止するバーナンキ議長の決意
日本の失われた20年の間、長期金利が低下し続けたが、それは将来の経済停滞を際限なく予見し続けたと言う点で凶兆であった。しかし、これは経済合理性から考えれば、奇妙なことである。低金利はビジネスの資本コストを引き下げ投資活動を活発化する。また金融資産価格の理論値を引き上げ、リスクテイクを誘発する。その結果、経済は回復に向かうと言う、オートマティック・スタビライザーが作動するはずであるが、日本の場合にはそれが全く作動しなかった。それは資産デフレが永続するという間違ったトラウマが定着してしまったからである。日本の場合長期にわたって資産リターンの異常な格差が定着した。つまり金融市場の金利裁定機能が停止した。現在長期金利1%、配当利回り2%、株式益回り6%、不動産キャップレート7%と言う大きな格差が存在している。なぜ人々は高リターンの株や不動産を買わないのだろうか。それは株式を買って6%の表面リターンを得たところで5%以上値下がりがあればそれは帳消しになる、との読みが働いているからである。そして資産価格が恒常的に値下がりすると思い込ませるに当たって、政策の誤りが大きく寄与してきた。バーナンキ議長はUnusually uncertainという強い言葉を使って、日本型資産デフレメンタリティーへの転落を阻止するとの強い決意を示したと考えられる。それは株式にとって大いなる朗報である。
米国株式はスイートスポット
米国が日本型のデフレを回避できるとすれば、現在は株式投資のスイートスポットと言える。図表6に見るように、米国株式はイールドカーブ(長短金利差)サイクルと密接に連動してきた。過去、短期金利が引き上げられ長短金利差が縮小する場面は株高、短期金利が低下し金利差が拡大する場面では株安局面、という対応関係があった。今はイールドカーブ(長短金利差)はピーク水準にあり、今後は長期金利の低下といずれ起きる短期金利の上昇によりイールドカーブはフラット化(金利差縮小)するものと見られる。それは力強い株高をもたらす金融環境と言える。









