日本市場は週初の7月19日が海の日で休場だったが、連休中に米国株式相場の水準が切り下がったことが嫌気され、翌7月20日から日経平均は先週の流れを引きずるかたちで続落した。先週木曜の15日から今週木曜の22日まで5日続落となり、その間の下落幅は574円となった。ザラ場中には1日に記録した年初来安値(9,191.60円)を下回る場面もみられた。この日経平均の下落の背景には、ドル円相場が86~87円という円高水準で推移し続けたことが挙げられる。ドル円相場は16日に7ヶ月半ぶりの水準となる1ドル=86.27円をつけた。
この水準でドル円相場が定着するのは近年では稀なことだが、その背景には米国経済の「不確かさ」が挙げられるだろう。米国の経済指標でいえば、20日に発表された住宅着工件数は事前予想の57.7万件を下回る 54.9万件となり、22日に発表された中古住宅販売件数は季調済の年率換算で537万戸と前月比-5.1%となった。前月比マイナスは2ヶ月連続で、減少幅は今年1月以来の大きさとなっている。主に住宅関係で悪材料が出たのだが、21日に行われたバーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長の議会証言では、「米国景気の先行きは異例なほど不確かだ」との発言が聞かれ、それに伴い日米の長期金利が低下した。21日の米国債券市場では長期金利が約1年3ヶ月ぶりの低水準となる2.88%を記録した他、22日の国内債券市場では新発10年物国債利回りが一時1.045%と6年11ヶ月ぶりの低水準をつけた。この結果、日米の長期金利差が1年2ヶ月ぶりの大きさに縮小したことが円高の主な要因だろう。
経済指標に関しては上記のように悪材料が多かったものの、米国企業の4~6月期決算は必ずしも悪いわけではない。建機大手キャタピラー、化学大手スリーエム、総合物流大手UPSなどは好決算を発表している。しかし、先週決算が一通り出揃った大手金融機関は厳しい内容であった。信用コストの減少など好材料もみられたものの、前年に好調だった証券部門の低迷の影響が大きく、モルガン・スタンレーを除くシティグループやゴールドマン・サックスなどの大手4社は減益となった。
また、21日にオバマ大統領が米国の金融規制改革法案に署名したことで、同法案が成立した。具体的な内容はまだ決まっていないが、内容次第では今後の波乱要因に十分なりうるものであるため、今後も経過を注視する必要があるだろう。
先週の上海市場は5日連騰と上昇の1週間となった。そろそろ本格的な底打ち・反発の兆しと捉えてもいいのかもしれない。前の週に発表された経済指標は全体的に事前予想より弱い数字が多かったものの、中国政府による各種バブル抑制策の効果が出てきたと、前向きな見方が多かったようだ。また、世界中から注目を集めていた中国農業銀行がIPOを終えたが、資金需給の悪化も山を越えたということで、相場の後押しとなったようだ。日本経済新聞の1面で、中国政府が2011~2020年の10年間に環境負荷が小さい新エネルギーの産業振興に5 兆元(約65 兆円)を投じると報じたが、太陽光発電を手がける上海航天汽車機電がストップ高となるなど、材料株が物色されるようになりはじめたのも地合いがよくなった要因の一つなのではないだろうか。香港市場は米国市場との関係から、週初に約160ポイントほど下落したものの、その後は4連騰で先週の取引を終えている。
執筆時間・その他処理の都合上、23日の欧州ストレステストの結果を見ずにこの原稿を書いているため、適格な今週の展望を書けない気がするのだが、当然ながら第一に欧州ストレステストの結果がどうなるかで今週の相場展開は大幅に変わってくるだろう。また、その他では、米国で30日に発表される4~6月期実質GDP成長率が注目される。事前予想は前期比年率+2.5%となっており、1~3月期の同+2.7%から小幅に減速する見通しとなっている。また、前述したとおり、足元で脆弱さが認識できる米国の住宅関連の指標が多く発表される。26日に6月新築住宅販売件数、27日に5月S&Pケースシラー住宅価格指数(全米20都市)には注意する必要があるだろう。以上挙げた米国の経済指標の結果次第では、ドル円相場における更なる円高進行も考えられる。日本では、週明け月曜に貿易統計が発表されるが、全体の数字以上にアジア向けの輸出の数字に注意したい。週末の30日には6月の鉱工業生産指数(速報)が発表される。また、日本企業関連でいえば、米国同様に4~6月期の企業決算発表が今週から次々と発表される。
今週は火曜日にインド中銀、木曜日にニュージーランド中銀がそれぞれ金融政策決定会合を開きます。インドでは6 月の卸売物価が前年比+10.55%と5 ヶ月連続で2 ケタの上昇率となったため、市場では利上げの観測が指摘されている。また、先月上旬に約3 年ぶりの利上げに踏み切ったニュージーランド中銀も再利上げが予想されている。着々と出口戦略を取り出している新興国にいつ先進国は追いつくのだろうか。









