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ポートフォリオ(資産選択)理論
株価の変動を確率過程(時間軸に沿って予測不可能な動きをするもの)としてとらえたのは、1990年にノーベル経済学賞を受賞したH.マルコビッツとW.シャープの両教授です。複数個の株式(より一般的には金融商品)をどのように組み合わせれば、所与のリスクのもとで、最大の期待収益をあげられるのでしょうか。だれもが関心を持ちそうな、こうした設問への答えを数学的に導いたのが、上記二人の経済学者の功績だったのです。もともとは「紙はさみ」や「書類かばん」を意味するポートフォリオという言葉に「資産の組み合わせ(選択)」という意味を与えたのも彼らなのです。
説明の便宜上、所与の資金で株式を今買って、1年後に売るものとしておきましょう。そこでまず、予測不可能な1年後の株価を確率変数だと考えます。確率変数の性質を示す代表的な指標として、平均と分散(分散の平方根を標準偏差といいます)があります。平均とは確率変数の期待値のことです。分散とは確率変数と平均の差の2乗の期待値です。期待値(平均)が大きい株式は魅力的ですよね。「分散が大きい」ということはリスクが高い株式だということになり慎重な人は買い控えますよね。あなたがリスクを回避することを第一と考えるのなら、株式投資から手を引いて、あなたの手持ち資金を銀行に定期預金するのが賢明でしょうね。ローリスク(分散が小さい)ハイリターン(平均値が高い)な株が見つかればいいのですが、なかなかそうは問屋が卸しません。ハイリスクを回避しようとする株式投資家は、複数個の会社の株を組み合わせて資産を運用するのが普通ですよね。
複数個の株価の変動の相互依存関係を考えてみてください。たとえば、円・ドル交換レートが大きく円高に振れれば、売り上げの多くを輸出に頼る会社(輸送用機械、工作機械、精密機械など)の株価のほとんどが一斉に下がりますよね。逆に、原燃料のほとんど100%を輸入する電力会社やガス会社の株価は円高により上がる公算が高いですよね。要するに、複数個の株価(確率変数)の間には、多かれ少なかれ相関関係があります。相関係数とは、2つの株価の共分散を標準偏差の積で割り算したものです。共分散とは、それぞれの株価と期待値の差を掛け合わせたものの期待値なのです。数式で表現すると以下の通りです。
X社とY社の1年後の株価をxとyで表しましょう。
xの期待値はμx=E(x)、yの期待値はμy=E(y)となります。E(・)とは括弧の中身の期待値を表します。
xの分散はσxx=E(x – μx)2 、yの分散はσyy=E(y – μy)2、xとyの共分散はσxy=E(x – μx)(y – μy) となります。








