相場の世界でも、先人たちの教えが残っている。株式格言や投資ことわざであるが、時間を割いて調べて見ると、興味深いことが分かる。
例えば、「人の行く裏に道あり花の山」という格言は、株式投資をする人ならば、一度は聞いたことがあり、「多くの人とは逆の行動を取れ」と、諭す趣旨と思われている。確かにそうだが、奥には深い意味がある。この作品は、茶道の千利休が伝えたとされるが、上の句なので下の句も存在するわけだ。
この下の句を知っている人は、極端に少なくなる。
上の句が、大勢のむしろ反対を進めというのなら、下の句は果たしてどんな趣旨になるのだろうか。下の句は次の通りだ。
「いずれの道も散らぬ間に行け」
つまり、表の道を行くのも、裏の道も行くにしても、花が咲き誇っている期間に行かないと、綺麗な花を観賞することは出来ない、というタイミングについての教えと捉えることができる。
上の句で、物色対象を示し、下の句で、タイミングを諭す、つまり、株式投資で成功する極意である。どれだけ良い銘柄であってもタイミングを間違えば、上昇しない。
銘柄選択だけに精力を傾けるのではなく、むしろ、その銘柄をいつ売買するかという、タイミングを見逃さないこと、さらには、やると決めたらすぐにやる実行力。
当たり前の事だが、今一度、体に染みこませたい格言といえる。ここで注目すべきは、上の句しか広く伝わっていないことだ。本当は、下の句を言いたいのかもしれないが、あえて、上の句を目立たせることで、下の句をぼやけさせた。
このため、下の句まであえて、調べようと思わないかぎりは、表面だけの格言に終わってしまうだろう。ここにこの格言を広めた人の賢さが見える。
広げたにしても、全員には広げていない。これを「賢者のミスディレクション」と私はいっている。








