小売業分析 初めの一歩は売上高から
小売業にとって売上高を伸ばすことは、至上命題です。売上高が大きければ、それだけ消費者に支持されていることを意味し、その売上高を拠り所として仕入先からの購買力も強くなります。そこで、売上高が過去どのように伸びてきたかをまず調べます。少なくとも過去5年間位に渡って売上高の推移を見てみましょう。なお、開店や閉店、売場の拡張や縮小などがあった場合は、それを調整しなければなりません。表面上売上げが伸びていても、それが売場面積の増加によるものだけであったとしたら、設備投資の負担があるので利益に直結しません。逆に売上げが減少していても、それが不採算店舗の閉店によるものならば、短期的な利益にはプラスに影響します。
売場面積は売上げを計るモノサシ
通常、小売業の売上げは、1年前の売場面積を基準として、その伸びをチェックしていきます。出店閉店が多いスーパーで特に重要で、「既存店ベースの売上げの伸び」として発表されているものです。なお、各社は、売場の増減を何時どの様に行ったかを発表していますので、それを基に、自分自身で既存店の売上げの伸びをある程度推計することも出来ます。ある年度の下期に入った日に5%の売場面積の増加があったとしたら、その年度の売上高は2.5%分(5%の半年分)売場面積増の効果を得ていると言えます。つまり、当該年度の売上高を1.025で割った後に、前年度の売上高と比較すれば、「表面上の」既存売場面積ベースの増収率が求まられる訳です。
この様に計算した「表面上の」既存店増収率と、会社が発表する既存店増収率との間に差異があれば、それが新店(新売場)効果と推測されます。つまり、新しいお店や売場が、従来の売場以上の効率で売上げを獲得していることを表しています。この効果が大きい企業は、新しいお店や売場を作ることに長けているともいえるでしょう。この新店の順調な売上げが、将来の利益に結びつきます。
このことは、新店(改装店)の幾つかに実際に行くことで、数字が発表される前に実感することができるかもしれません。「A社とB社を比較したら、同じ新しい店なのに賑わい方が違っていた」-この様な情報が、企業評価では非常に重要となります。先ずは、足繁く色々なお店に通って下さい。
既存の売場面積をベースとした売上高が順調に伸びている小売業があれば、その企業の利益は順調に伸びているはずです。特に、最近の様に、一般世帯の消費支出が殆ど伸びない環境下においても、既存売場面積(店)当たりの売上げを伸ばす企業は、小売業として非常に優秀な企業と言えます。








